豪ロウィー研究所研究部長のローリ・メドカーフ(Rory Medcalf)が、10月15日付オーストラリアン紙に「豪・印関係における新しい成熟」と題する論説を寄せ、ギラード豪首相のインド訪問の意義を強調しています。
すなわち、ギラードのインド訪問は、インド洋とアジア太平洋地域が結びつくインド・太平洋時代の到来にふさわしく、また豪政府が、いわゆるアジアの世紀と言う白書を発出する前に行われるものでタイミングもよい。
豪とインドは確かに相当異なる国であり、その関係には問題も出てこようが、豪・印関係は、新しい、肯定的な段階に入りつつある。豪・印関係の改善は、インドへの民生用ウランの売却を禁止する労働党の政策を昨年12月に変えた、ギラード首相の勇気と良識に負うところが大きい。これで両国間の協力の障害になっていた豪・印間の不信が取り除かれた。
台頭するインドは豪の繁栄のための引き続き大きな潜在力を持つ。インドは韓国と豪の第三の輸出先を競っており、石炭、金、銅、教育が重要である。インドはまた、食料、水、環境政策で豪の経験と専門性を評価している。
安全保障面では、ギラード首相がバリ島経由でデリーに行くことが、利益と悲劇の共有を示している。2008年にムンバイのテロで豪州人は犠牲になった。アフガンでは豪は役割を果たしている。インドと豪は安全保障上のパートナーとして、テロ対策のみならず、インド・太平洋地域の安定化を図ることができる。これには、インド洋と東南アジアヘのシーレーンが含まれる。
インドは、中国の力が大きくなる中で、インド洋のみならず、より広くアジアでの安全保障秩序における不可欠のプレイヤーだ。もし豪がインドとの戦略的信頼を作ることが出来るならば、この二つの海洋国家がさらに第三国と協力出来ない理由はない。インドが豪軍やダーウィンの米の海兵隊と共同訓練する諸国の一つになることは理にかなっている。