4代目以降は代次郎を襲名するしきたりになる。4代目の危機は関東大震災と太平洋戦争。震災では総本店のビルも焼け落ちた。再建に合わせてフルーツパーラーを誕生させるが、戦争で直営店はほとんど焼失してしまう。5代目代次郎の危機は冒頭のバブル崩壊だろう。
今は千疋屋総本店の他に、3代目がのれん分けしたうちの京橋千疋屋と銀座千疋屋が残る。それぞれ独立経営で、各社が多店舗化している。そうは言ってもお客にとっては同じ千疋屋。「千疋屋クオリティを守るように、部門ごとに交流会を年に数回持つようにしている」のだという。「同じショートケーキでも味が違うので、千疋屋マニアのお客様はどこのものが好みだ、などとおっしゃいます」と大島社長は笑う。
ブランディングの見直しで力を入れたのが社員教育。果物売り場の従業員は100%正社員だ。果物の知識を身につけなければお客様に説明はできない。販売士などの資格を取るための教材費などを支給、資格を取ると金一封も出す。「志を高く持った社員が千疋屋を支えている」と考えるからだ。
6代目の危機は、今真っ只中の新型コロナだろう。千疋屋の店是には「一 客、二 店、三 己」とある。その原点を見つめ直すことを忘れなければ、必ず今回の危機も乗り切れる、そう大島社長は腹をくくっている。
写真=湯澤 毅 Takeshi Yuzawa
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PART 8 重み増すアフリカの対中債務
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