2023年1月27日(金)

新しい原点回帰

2021年9月4日

»著者プロフィール
閉じる

磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

 4代目以降は代次郎を襲名するしきたりになる。4代目の危機は関東大震災と太平洋戦争。震災では総本店のビルも焼け落ちた。再建に合わせてフルーツパーラーを誕生させるが、戦争で直営店はほとんど焼失してしまう。5代目代次郎の危機は冒頭のバブル崩壊だろう。

関東大震災後に再建された本店。復興が進むにつれ、衛生や身の回りに気を遣うことができるようになったことから、理髪店も併設した

 今は千疋屋総本店の他に、3代目がのれん分けしたうちの京橋千疋屋と銀座千疋屋が残る。それぞれ独立経営で、各社が多店舗化している。そうは言ってもお客にとっては同じ千疋屋。「千疋屋クオリティを守るように、部門ごとに交流会を年に数回持つようにしている」のだという。「同じショートケーキでも味が違うので、千疋屋マニアのお客様はどこのものが好みだ、などとおっしゃいます」と大島社長は笑う。

 ブランディングの見直しで力を入れたのが社員教育。果物売り場の従業員は100%正社員だ。果物の知識を身につけなければお客様に説明はできない。販売士などの資格を取るための教材費などを支給、資格を取ると金一封も出す。「志を高く持った社員が千疋屋を支えている」と考えるからだ。

揃いの制服を着た従業員が用途に合わせて相談に乗ってくれ、贈答用であれば手際よく包装してくれる

 6代目の危機は、今真っ只中の新型コロナだろう。千疋屋の店是には「一 客、二 店、三 己」とある。その原点を見つめ直すことを忘れなければ、必ず今回の危機も乗り切れる、そう大島社長は腹をくくっている。

千疋屋総本店の店是。極めてシンプルだが、これこそが原点回帰の基本となる

写真=湯澤 毅 Takeshi Yuzawa

Wedge4月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■「一帯一路」大解剖 知れば知るほど日本はチャンス
PART 1     いずれ色褪せる一帯一路 中国共産党〝宣伝戦略〟の本質
PART 2     中国特有の「課題」を抱える 対外援助の実態            
PART 3     不採算確実な中国ラオス鉄道 それでも敷設を進める事情    
PART 4  「援〝習〟ルート」貫くも対中避けるミャンマーのしたたかさ  
PART 5     経済か安全保障か 狭間で揺れるスリランカの活路       
PART 6    「中欧班列」による繁栄の陰で中国進出への恐れが増すカザフ
COLUMN   コロナ特需 とともに終わる? 中欧班列が夢から覚める日
PART 7      一帯一路の旗艦〝中パ経済回廊〟
PART 8     重み増すアフリカの対中債務
PART 9     変わるEUの中国観 
PART10    中国への対抗心にとらわれず「日本型援助」の強みを見出せ

  
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

Wedge 2021年4月号より
「一帯一路」大解剖
「一帯一路」大解剖

2013年、中国の習近平国家主席が突如打ち出した「一帯一路」構想。

中国政府だけでなく、西側諸国までもがその言葉に“幻惑”された。

それから7年。中国や沿線国は何を残し、何を得て、何を失ったのか。

現地の専門家たちから見た「真実」。それを踏まえた日本の「針路」とは。

 

中国南部の雲南省と貴州省の境にかかる北盤江大橋。上海からミャンマー国境の瑞麗まで延びる高速道路の途中にあり、計画中のミャンマー国内の高速道路が建設されれば、将来的には両国を繋ぐ要となる


新着記事

»もっと見る