2024年7月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月14日

 このような傾向は、韓国、東南アジア、インドにも見られるものです。むしろ、これらに比較すると、日本が一番しっかりしている感さえあります。

 中国との経済関係における最大の問題は、中国がそれを政治的に利用する術を知っていることにあります。中国は、尖閣事件が始まると日本からの輸入貨物の通関手続きを遅らせ、劉暁波のノーベル平和賞授賞以来ノルウェイ産サーモンの検疫には時間がかかり、ダライラマ訪問を受け入れた国からの贅沢品輸入は制限されています。そして、中国のビジネス・パートナーには、それぞれの政府に対して親中政策を取るよう働きかけるよう圧力をかけています。豪州のビジネスマンが中国の圧力の下にあることは想像するに余りありますし、尖閣事件について、中国が日本の経団連に対して、妥協的解決の支持を求めるよう圧力をかけたことも明白でしょう。

 これは、単に経済交流を阻害すると双方が損をするという経済的一般原則の外の不当行為です。こうした行為は、WTOでも取り締まるのは困難であり、他方、報復行為は自らの尊厳を傷つけることになります。したがって、そのような事例ごとに、その不正さを声を大にして糾弾するしかありません。しかし、そうした不当行為の存在については、ビジネスの当事者からの報告が必要ですが、報復を恐れて泣き寝入りするケースが多いと言います。

 この問題の将来に希望が持てるとすれば、国際安全保障上の情勢の大きな流れは、中国に対する包囲網形成の方向にあり、中国があらゆる政治的経済的な力を行使してこれを避けようとしても大勢は動かないと予想されることです。そして、経済取引を利用しての中国の圧力は、本質的に、不法行為であり、自ずから限界があります。また、長期的には、それが対中国投資の他地域への転出を招く効果もあるでしょう。

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