世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月9日

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 タイでは民衆による反政府デモが激化している。抗議の始まりは2020年2月に起きた野党未来党の強制解散であったが、直ぐに対象は、腐敗、暫定軍事政権、そして評判の悪い不敬罪法へと拡大した。

 デモは、最近まではそれほど危険なものでもなかった。タイ在住のジャーナリストTyler Roneyは、8月23日付のForeign Policy誌(電子版)の解説記事で、「2020年8月のタイの民衆の抗議は祝賀的雰囲気と言えるほどであったが、1年後毎日暴力が起きている」と評している。

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 今や、抗議と報復の暴力は拡大し続け、警官隊とデモ隊との衝突が頻繁に起きている。デモの矛先はゴム弾や催涙ガスを使って強権的取り締まりを強行している警察に向けられているが、その背景に新型コロナウィルス対策で後れを取った政府に対する不満があることは間違いない。

 タイでは新型コロナウィルスが猛威を振るっている。厚生労働省検疫所のホームページによれば、タイでは直近1週間の新規感染者が14万1191人に達したとのことである。人口10万人当たりの新規感染者数は202.3人となり、前週に比べ、20%の増加となっている。

 人口10万人当たりの新規感染者数は同時期にインドネシアで82.5人、インドで20.2人とのことであるので、タイの新規感染者数がいかに多いかが明らかである。このような新型コロナウィルスの新規感染者の急増に対し、タイ国民は政府の対策の不備を強く非難し、抗議デモを行ってきている。

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