2024年5月10日(金)

田部康喜のTV読本

2012年12月19日

 東京の冬の美しさに目を奪われた瞬間でもあった。都のシンボルともなっているイチョウの葉が青から黄に変わり、そして落葉して地面を覆うさまはなんとも美しい。

 街宣車の後を追って、タクシーで走り抜ける街の夕暮れもまた、乾いた空気のなかで茜色にビルが染められるシーンを幾度もみた。

 丸の内のビル街から、荒川沿いの下町、そして、スカイツリーが間近にみえるターミナル駅……。

精度が高まる世論調査

 2012年12月16日(日)午後8時、NHK総合の「衆院選2012 開票速報」がはじまった。

 ヘッドラインは、「政権交代へ 自民党単独過半数 自公320うかがう」である。

 始まったときには、最後の結末は予言されている。

 テレビや新聞の事前の世論調査の精度はここ5年前後で、ますます高まっている。わたしは、新聞記者のかけだし時代の1980年前後に取材網の末端である、地方支局でその県の選挙区の世論調査を担当した経験がある。

 そのときの世論調査は、あくまでも記事の材料であり、実際の候補者の当落を予想するのは、地域の選挙に詳しい町長や県議などのもとを記者が足であるいて取材するデータが重要であった。

 最近のように、自動的に電話をかけて、音声が質問するのではなく、当時は、学生アルバイトが無作為に抽出した名簿をもとに、実際に有権者を訪問して質問する方式であった。

 事前の世論調査のみならず、投票日の投票所の会場でおこなわれる「出口調査」の手法と精度も飛躍的に向上している。

 NHKの出口調査は、全国約4200カ所の投票所で、約46万人を対象として、約31万人の回答を得ている。

「分析」の差が報道の優劣を分ける

 始まっているときには終わっている、選挙速報番組をどうするか。

 報道は、ルポルタージュ、つまり現場中継と分析が重要な柱である。


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