2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月20日

 民主党の目指す人道的な移民政策とそれにより生ずる移民の急増という現実に対する対応策が機能しないジレンマは当初から指摘されていたが、コロナ対策で時間を稼ぐ間に体制を整えることもあり得るかもしれないと期待されていた。しかし、ハイチ危機が生じたこともあり、バイデン政権は全く対応できていない。もともと、殺到する庇護希望者を処理する体制が十分整わない内に、移民に対して寛容な姿勢を示したことに無理があったと言えよう。

選挙への影響も不可避

 公衆衛生の保護を根拠とする強制退去も、緊急避難的措置としてやむを得ない面もあるが、法的には疑義もありこれに過度に頼ることは望ましくない。他方、米国内に入った者に一律に一時保護資格を与えれば、移民の流れは制御できないレベルになる恐れがあり、当然選挙にも影響が出てくるであろう。移民の流れはいつまでも続かないとの楽観論もあるが、説得力に乏しいように思われる。

 移民の流れの中継地や待機地となるメキシコなどに移民の人道的待遇を確保するための資金協力をしてでも協力を得ることが極めて重要であり効果的であろう。また、問題の根源であるハイチの抱える問題は根深いが、米国政府が、同国の混乱収拾に積極的に関与することも必要であろう。

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