2024年4月21日(日)

Wedge OPINION

2021年10月21日

 今度の総選挙で結論を出したい党がほとんどだから、ここで決着するのもいいだろう。しかし、LGBT、夫婦別姓が実現すれば事足りるというのではなく、〝多様性〟を主張するからには、それによって将来、どんな国にしていくのか、その青写真を見据えた議論が必要ではないのか。 

 立憲民主党は「政策集2021」のなかで、外国人労働者を受け入れ、「生活者」として遇すること、難民認定制度、収容者送還制度の見直しを提言している。将来の移民完全受け入れを視野に入れているのかは判然としないが、野党第一党の提言だ。

 この提案を機会に、均一な日本社会から脱皮し、将来、アメリカのように移民を受け入れて人口減を補う〝多民族国家〟として生まれ変わっていくのか。こうした根本的な議論を始めるのも意味あることだろう。

コロナ対策は危機管理として議論すべき

 自民党総裁の岸田文雄首相は総選挙の争点を問われて真っ先に「コロナ対策」をあげた。他党も公約の第一がそれだ。

 再び誤解を恐れずに言えば、コロナ対策は総選挙最大の争点であるべきなのか。感染を食い止め、国民の生命を守り、回復を急ぐ、そして疲弊した経済を立て直すというのは与野党共通の大目的ではないのか。そこに論争の余地があろうはずがない。

 ワクチン接種時期をどうする、カクテル療法、治療薬開発を急ぐ、国民一律に現金を支給する――などという主張は、総選挙の争点に掲げて国民の審判を仰ぐべき問題だろうか。予防、治療、生命の安全にかかわる問題は、日本感染症学会など医療専門家による研究、検討に委ねるべきだ。

 それに関連する問題はコロナ対策を検討してきた国会の与野党協議機関で具体的に話し合うのがスジであり、よほど建設的だ。総選挙の争点にすることこそ、まさにコロナ問題の政治利用というべきだろう。

 コロナ対策について選挙で議論するというなら、自民党の公約が若干触れている危機管理上の問題としてとらえるべきだろう。総理大臣はじめ閣僚の多くが感染した場合、国会議員の多くが入院した場合、どうするのか。

 国民の考えを聞き、判断を仰ぐべきは、こうしたことを想定した危機管理対策であるはずだ。それは、究極的には憲法の改正の是非に行き着く。

姿見えぬ「新しい資本主義」

 岸田首相掲げる「新しい資本主義」「日本型資本主義」。あたかもアダム・スミスやケインズに並ぶような大きなテーマにも聞こえるが、内容はよくわからない。

 「成長と分配の好循環」の実現ということらしいが、それなら何ら新しい議論とはいえない。安倍晋三内閣の時から続いている論争だ。中間層の国民の生活向上がかかった重要な問題ではあるのはわかるが、「分配が先か、成長が先か」という議論は、総選挙の争点として、国民にどれだけ理解されるか。 

 このテーマに関連して、岸田首相が総裁選で打ち出していた「令和の所得倍増」が所信表明演説から消え、代表質問で追及された。自民党公約集の「新しい資本主義」の項目にも見当たらなかった。


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