なお 16日のバイデンの発言から見ると、バイデンは先般の会談で習近平に米国の対応を内報したのではないかと推測される。なお新疆綿の輸入について、関係日本企業も輸入を止める動きを取っている由であり、適切な対応だと思う。
求められる自由貿易への戦略
米国の対応について未だに大きな懸念となるのは、貿易戦略の欠如である。先般、商務長官レモンドやUSTR代表のタイが訪日し協議したが、貿易は「環太平洋経済連携協定(TPP)の外で」対応することを検討するなど述べた。「日米通商協力枠組み」を立ち上げることに合意したが、二国間志向が強く、内容も不明確だ。
「インド太平洋経済枠組み」構想を推進するとも言われるが、方向が違うのではないか。非常に歯がゆい思いがする。それでは不十分だし、戦略にならない。きちっとした貿易の柱を立てて初めて、米国の対中同盟政策は完全なものになる。
米国は未だTPPの外に居て対中政策が出来るとでも思っているのだろうか。いくら中間選挙への影響を懸念すると言っても、そろそろもう少し正直な、正面からの議論を民主党内など国内で始めるべきではないだろうか。
貿易は今や何時でも簡単には行かない。他方、今は強い対中政策の必要性という点では議会に強い超党派の支持があり、有利なはずだ。しかも TPPは元々米国が参加し、主導してまとめたものだ。国内的に不満な点があれば手当も不可能ではない。
今米国で最も必要とされる強力な国内措置を取らないこととTPPなど貿易が一緒にされては困る。これが米国のインド太平洋政策の歴史的失敗の転換点にならないかと気掛りである。
日本はTPPにつき執拗に米国に働きかけていくべきだ。林外相からタイ代表に働きかけが行われたようだが、米国の具体的反応は分からない。豪州などと共に米議会にも非公式な働きかけを拡大すべき時かもしれない。