2022年8月10日(水)

教養としての中東情勢

2021年12月3日

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 マレー米特使は「イランの核開発があまりに進んでいるため、元の合意には戻れない」と宣言する事態が来るかもしれないと語っている。イランの核武装が現実味を帯びれば、野党共和党などからの圧力を受けたバイデン政権がイスラエルと共同で軍事作戦に追い込まれるかもしれない。

サイバー攻撃合戦、出会い系サイトの情報流出

 27日の米ニューヨーク・タイムズによると、イランとイスラエルによる水面下での秘密戦争が拡大し、一般市民に大きな影響が出る事態となっているが、これも核協議と軌を一にしたつばぜり合いの一環だろう。発端は10月26日にイラン全土の4300カ所にも上るガソリンスタンドのシステムがハッカー攻撃を受け、給油がストップ、市民生活に大きな影響が出たことだ。

 復旧するまでに約2週間もかかったが、米当局者らによると、この事件はイスラエルによるサイバー攻撃。イランでは2年前、ガソリンの値上げで反政府デモが頻発したが、今回はこれを再現させ、社会不安を狙ったのではないかと見られている。テヘランなどの電子表示板も乗っ取られ、「ハメネイ、私のガソリンはどこに?」というメッセージが表示される一幕もあった。

 この事件から4日後、今度はイスラエルの民間の医療法人や性的少数派LGBTQの出会い系サイトなどがハッキングされ、個人情報がネット上に流出する事態となった。被害を受けた市民は国民の16%に相当する150万人にも上った。とりわけ出会い系サイトからは氏名や住所のほか、性的志向や避妊具使用の情報、際どい写真まで含まれていたという。

 ハッキングしたのは「暗黒の影」という組織だが、イスラエルはイラン政府の一部か、イランのために働いているフリーのハッカー集団と見ている。これまで両国の秘密戦争はタンカー攻撃などに限られてきたが、防御システムが弱い民間施設まで拡大、より深刻な状況に発展してきたようだ。

  
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