2022年10月6日(木)

21世紀の安全保障論

2021年12月8日

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辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

スティムソン・センター日本部長

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

 それでも、首脳レベルでの対話が再開されたことは、没交渉のままどんどん緊張がエスカレートするよりはまだましだと思われたのだが、ここに来て、北京冬季五輪・パラリンピックの「外交的ボイコット」である。

注視される日本はじめ同盟国の対応

 これでおそらく、米中関係は振り出しに戻るどころか、ますます緊張状態が続くことになるだろう。何しろ、外交ボイコットの理由が、内政干渉を嫌がる中国が最も敏感な問題の一つである「人権」、しかも新彊ウイグル自治区における人権弾圧である。おそらく、今回の政権の判断には、12月2日に女子テニス協会が(WTA)が、中国の元ダブルス世界チャンピオンの彭帥選手が行方不明になっていること、また同選手の安否について中国政府が透明性のある調査を行っていないことを理由に、「選手の安全に懸念がある」として、香港を含め、中国での大会開催を当面中止するという発表をしたことも、大きく影響していると思われる。

 選手団の参加を認めない完全ボイコットほど強硬でないとはいえ、米国がこのような措置に踏み切った今、日本、韓国、豪州、英国など米国の同盟国・パートナー国も、北京冬季五輪に関する「踏み絵」を踏まされることは避けられないだろう。岸田文雄首相のもと、「人権担当総理大臣補佐官」や「経済安全保障大臣」といったポストを新設した日本がどのような対応をするかが注目される。

  
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