新京報と同様に7日付に環球時報社説の掲載を拒否した湖南省の地元紙「瀟湘晨報」は8日付で、環球時報社説の掲載を余儀なくされたが、その横に殺虫剤の大きな広告を載せ、「ネズミ、ゴキブリ、ノミ、蚊よ、さらば」と記し、反骨心を示した。河南省の「東方今報」は11日付で1面に、「南方週末」の題字を掲げ、「われわれと南方週末は一緒にいる」と記した。公然と南方週末を応援し、宣伝部に反抗する動きは全国に拡大する異例の事態になっている。
早期の収拾指示した習近平
新京報の抗議を伝えた中国メディア関係者とみられる人物の微博は、南方週末事件の「本質」としてこう解説した。「進歩的な民衆が、行政手段を用いて報道の自由への高圧的な干渉を行う当局に反抗を示したものだ」
こうした事態に対して習近平総書記はどう動いたのか。中国メディア関係者は「習総書記は早期の事態収拾のため胡春華・広東省党委書記に命じて同省宣伝部と南方週末の調停に乗り出した」との見方を示す。結果的に、南方週末の現場が要求した庹震の即辞任は実現しなかったが、黄燦編集長は辞任し、事前検閲も停止になり、抗議した記者の責任も問われなかった。
「双方は妥協しながら理性的な話し合いを進めた」と明かすのは中国メディアの記者だ。しかし今後、言論の自由に向けて前進するかどうかは別問題だ。
「『党がメディアを支配する』原則は変わらない。報道禁止問題を通知する『禁令』は続くし、事前検閲も時間がたてば再開するだろう。ただ南方週末の編集長にどういう人物が来るかが焦点だ。黄燦は宣伝部の言いなりだったが、開明的な編集長が就けば、変わるかもしれない」。中国メディア関係者は解説した。
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