2023年2月5日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月14日

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 最近、バイデンと習近平の間で行われたオンライン米中首脳会談において双方は台湾海峡についても議論を行ったが、基本的には対話の応酬に終わった感じがある。バイデンは「台湾海峡の平和と安定を損なう行為、一方的な現状変更の動きには強く反対する」旨表明し、他方、習近平は「台湾独立勢力がレッドラインを突破すれば断固たる措置を取らざるを得ない」と述べ、対話は平行線に終わった。

米中台で見られる〝台湾独立〟への綱引き

 オンライン会談終了後、バイデンは記者とのインタビューの中で、台湾を“Independent”と呼んだとも伝えられているが、台湾防衛に対しては、最近の米国議会の雰囲気を反映した立場を表したものであり、「失言」というのは必ずしも当たっていないかもしれない。「事実上、台湾は独立しているに等しい」という言い方であれば、特段取り上げるまでもない表現であろう。台湾の地位をめぐっては、バイデンの発言には「一つの中国」の原則を主張する中国の曖昧路線と似たような同床異夢の曖昧さがある、と言っても大きな間違いではなさそうだ。

 他方、習近平にとっては、「歴史決議」を採択し、無期限の党主席の地位を目指して、権力の最高峰に立つことを目指しているが、毛沢東に並ぶ指導者の地位獲得のためには、特別の歴史的業績を上げなければならない、それが「台湾統一」に結び付く、という見方は決して的外れではないだろう。

 自由で民主主義が定着し、2300万人の人口を持つ台湾は主権の確立した独立国(「中華民国」〈台湾〉)というのが蔡英文政権の立場であり、敢えて「独立」を声高に主張して、いたずらに中国を刺激することなく、中国との間では対話を通じ現状を維持したいという方針を堅持している。

 そのような米、中、台湾の関係の中で、「台湾関係法」という国内法を持ち、台湾への武器供与に責任を有する米国の姿勢が、部隊員の増強の形で、徐々に、しかし着実に、強まりつつあるというのが、現状であるといえよう。

  
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