2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月23日

 ペクレスは、共和党の初めての女性大統領候補であるが、マクロンと同様、国立行政学院(ENA)卒業の超エリートで、サルコジ政権で教育相や財務相を務めるなど豊富な政治・行政経験もあり、自ら、3分の1サッチャー、3分の2メルケルと自称し、ドゴール、シラクら右派共和党系の伝統を継ぐ人物と言える。

 なお、ペクレスは、10代の時に日本語に関心を持ち、日本滞在歴があり、日本文化への関心は政治の恩師のシラク譲りとも述べており、この11月に日仏地域間交流と相互理解への貢献により旭日中綬章の叙勲を受けた知日派である。

抽象的な論点が争点となる可能性も

 ペクレスに対しては、ルペンやゼムールはマクロンの同類と批判し、マクロン側からは極右の主張に近いと批判することになる。マクロンとしては、2017年にマクロンに投票した左派、中道、中道右派票、大都市浮動票を引き留められるか鍵となるが、既に種々の経済改革を実現させてきたこと、黄色いベスト運動も国民との対話により克服したこと、EU共同起債によるEU復興予算を実現したことなどの成果を強調し、選挙までの間、コロナ封じ込めや経済対策、外交面での実績を挙げることに努めることになるのであろう。

 選挙戦では、経済対策を含めた新型コロナウイルス対策、移民、対EU政策などが争点となろうが、ロシア、米国や中国との関係やフランスの国家観といった抽象的な論点も取り上げられる可能性があろう。

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