経済の常識 VS 政策の非常識

2021年11月17日

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原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

 公明党主導の18歳以下の人々に10万円を配るという政策の評判が悪い。必要な人に配るべきで、誰にでも配るのはバラマキで良くないというのである。しかし、私はなぜバラマキが悪いのか分からない。

 あえて言わせてもらうと、バラマキは皆に配るのだから公平である。しかし、今回は世帯主960万円の所得制限が設けられた。共働きで800万円ずつの所得で計1600万円の世帯には配るのに、共働きではない世帯主の所得が970万円の世帯には配られない。特定の人に配ったら不公平ではないか。

(Overearth/gettyimages)

 公明党が所得制限を付けるなというのも興味深い。公明党は弱者の味方と自認しているようだが、金持ちから税金を取って貧しい人に配ればよいという反ビジネスの思想を持っていないということだ。所得制限を付けたがる自民党の方が、反ビジネスの思想を持っているのかもしれない。

 必要のない金持ちに配るのは良くないというのだが、金持ちはすでに税金をたくさん払っているのだから、税金の還付、減税だと考えれば良い。また、児童手当が制限される960万円で給付を止めれば、その前後の所得でもらえる人ともらえない人が生まれる。これは不公平ではないのか。また、家計の所得ではなくて、世帯主の所得だから、共働きの家族は有利になるが、これは公平なのだろうか。女性の社会進出を促進するから良いことだというのかもしれないが。

 私は、景気対策は減税を用いるべきだと考えている。バラマキは減税に近いから良い政策だと思う。

コロナ不況にはバラマキが適している理由も

 今回のコロナ不況は、通常の不況と異なって、さらにバラマキが良い理由がある。これまでの不況対策は、無理やりにでも需要を付けて仕事を作るということだった。しかし、仕事をするとは、人々が集まって何かをするということである。

 コロナ対策の基本は、人と会えばうつるか、うつすかするのだから、出来る限りステイ・ホーム、お家に居なさい、ということだ。これは仕事を作ることとは矛盾する。しかし、お家に居なさいと言われたら、外食・旅行・運輸業界などの人は働けなくなってしまう。働いてはいけないのなら、所得を給付するしかないことになる。

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