1951年(昭和26年)から水道の布設が始まった苅田町には、紙データの水道管路マップ24枚(縮尺2万5000分の1)と、管路が布設された際の工事設計書1000冊超があった。「以前からデジタル化の話はあった。しかし、どうしても費用がかかることがネックになっていた」と話すのは、水道工務担当係長の佐村有人氏。「これまでも紙データでやってきたことだし……」と、諦めムードが漂うなか、「それなら自前でやってみよう」と、佐村氏が立ち上がった。
デジタル化へ向けた隠れた努力
地図の中に情報を書き込むことができる「地理情報システム」(GIS)に、配水管などの膨大なデータを、わずか4人で、地道に入力していくという、まさに気の遠くなるような作業だ。
2年の入力期間を経て、マップのデジタル化を完成させた。これにより、町役場の窓口に設置された端末で誰でもアクセスできるようになり、夜間、休日はもちろん、水道関連事業者などは、登録すればスマホを利用して実際の工事現場からでもマップの閲覧が可能になった。
さらに、…………
◇◆◇ この続きを読む(有料) ◇◆◇
◇◆◇ マガジンの購入はこちら(有料) ◇◆
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。
Wedge 2022年1月号より
破裂寸前の国家財政 それでもバラマキ続けるのか
日本の借金膨張が止まらない。世界一の「債務大国」であるにもかかわらず、新型コロナ対策を理由にした国債発行、予算増額はとどまるところを知らない。だが、際限なく天から降ってくるお金は、日本企業や国民一人ひとりが本来持つ自立の精神を奪い、思考停止へと誘(いざな)う。このまま突き進めば、将来どのような危機が起こりうるのか。その未来を避ける方策とは。“打ち出の小槌”など、現実の世界には存在しない。