2022年8月8日(月)

バイデンのアメリカ

2022年1月11日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 トランプ大統領は在任中、北大西洋条約機構(NATO)の存在を軽視し、アジアにおいても同盟国の韓国に過剰な防衛分担を迫り、朝鮮半島からの米軍撤退の可能性にも言及するなど、自由主義陣営内に亀裂まで生じさせ、中国側に付け入るスキを与える結果を招いた。

 このため、バイデン大統領は「中国は世界のどこにも信頼できる安全保障上のパートナーを擁せず、それこそが最大の弱点だ」として、あえてその現実を逆手にとり、欧州では英仏独伊、アジアでは日韓豪など同盟諸国との一層の安保協力、関係促進方針を鮮明に打ち出した。

 これは明らかに、「アメリカ・ファースト」主義を露骨に表明し、西側諸国との協調や団結をないがしろにしてきたトランプ路線を180度転換させたものにほかならない。

同盟強化、中国対抗を数々表明

 より具体的には、バイデン政権下で過去1年の間に、以下のような動きが目立った:

①バイデン大統領は就任式での演説で「わが国は単独行動ではなく、これまで(前政権下で)棄損した同盟関係を修復し、再び世界に深く関与していく」と力説(1月20日)

②ホワイトハウスは外交、軍事、経済政策の基本方針となる「国家安全保障戦略」指針を公表「中国の脅威に対抗していくために世界中の同盟国や友好国との関係を復活させ、とくにインド太平洋と欧州において米軍プレゼンスを強固なものにする」と言明(3月3日)

③大統領はワシントンを訪問した菅義偉首相(当時)と首脳会談を行い、中国を念頭に、「東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みや、威圧に反対することで一致した」と発表(4月16日)

④大統領は上下両院合同会議で初の施政方針演説を行い「同盟諸国との緊密な関係を強化していくとともに、インド太平洋地域においては強力な米軍事力を維持していく」との意欲を表明(4月28日)

⑤大統領はブリュッセルを訪問、NATO首脳会議出席後の記者会見で「加盟国1カ国に対する攻撃は全体に対する攻撃とみなす」と明言するとともに、同盟関係強化の重要性に言及(6月14日)

⑥日米豪印の4カ国首脳会合(クアッド)がワシントンで開かれ、覇権主義的な行動を強める中国に対抗するため、「自由で開かれたインド太平洋の実現」に向けた協力を強化することで一致(9月25日)

⑦大統領は訪問先のローマでフランスのマクロン大統領と会談、席上、フランスなど欧州各国の海空軍によるインド太平洋での展開について、米国が支援を拡大していく方針を表明(10月29日)

⑧バイデン大統領主催による「世界民主主義サミット」が初めて開催され、(中国、ロシアを除く)100カ国以上の各国首脳が参加、大統領は歓迎演説の中で「専制主義体制とは対比される民主主義の花を世界各地に咲かせよう」とアピール(12月10日)

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