バイデンのアメリカ

2022年1月11日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

政権の土台が揺らぐ懸念も

 上記のように、バイデン政権誕生以来の対中国アプローチは、歴代政権でも例を見ないほどに厳しく、また徹底したものだった。

 ただ、今後に残された課題がないわけではない。同盟関係再構築以外に、対中政策の柱として掲げた民主主義体制強化、さらに「対峙と協力」の仕分けだ。

 まず、米国民主主義体制の現状については、トランプ前政権以来、トランプ支持派による連邦議事堂襲撃・占拠事件に象徴される議会制民主主義の蹂躙、各州における投票制度改悪などの動きを引き合いに出すまでもなく、土台そのものが大きく揺らいでいる。しかも、今日に至るまで、野党共和党下院議員の大半が、20年大統領選挙におけるバイデン勝利を否認し続けており、国論は分裂の危機に直面している。

 このような自由主義陣営の旗手を自認してきた米国国内政治の混乱は、世界各国における民主主義体制の確立を困難にさせ、ひいては中国を利することになる。

 また、対中関係における「対峙と協力」の仕分けについても、口先ほど単純なものではない。バイデン大統領は習近平主席と昨年2月10日、9月9日の2度にわたる電話対談、そして11月16日にはオンライン形式による首脳会談を行った。しかし、いずれのやりとりにおいても、双方の対立点が浮き彫りになり、両国による協力分野についてはなんら具体的な進展は見られなかった。

 この点に関連して、ジョセフ・ナイ米元国防次官補は読売新聞への寄稿コラムの中で、「中国を悪玉視することは避けるべきであり、あくまで『協力』と『ライバル』という二つの面のどちらにも同じだけの注意を払うことが求められる」と提言している。

 果たして今後、バイデン大統領は過去1年の間に打ち出してきた対中戦略の骨子をいかに具体的に肉付けしていくことになるのか――。その真価は、政権の存亡をも左右する11月中間選挙の結果次第にかかっていると言えよう。

  
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