東日本大震災前、国内には54基の原発が稼働可能状態にあったが、震災から10年以上経過した現在、稼働中なのは関西電力の大飯、高浜、四国電力の伊方、九州電力の玄海、川内の5発電所9基(21年12月末時点)。その他の再稼働が進まないのは地元同意が得られない(筆者注・そもそも地元と電力会社が結ぶ安全協定に法的拘束力はない)などの事情もあるが、大きな要因の一つとして、東京電力福島第一原発事故後に新設された原子力規制委員会(規制委)による「世界一厳格な規制」という無意味な手続きの壁がある。
規制委の行政手法はまるで責任回避
審査中稼働を容認せよ
規制委の「新規制基準」により、発電所の電源の多重化・多様化や原子炉格納容器の放射性物質拡散を防止しながら排気するフィルター付きベント装置設置の事実上の義務化など、最新の技術的知見を踏まえ、既設原発にも最新基準への適用を義務付けた。
新規制基準が的確な規制ならば異論はないのだが、規制委の規制が唯一絶対のものとなり、それを満たさない限り、原発の再稼働は事実上できなくなっている実態は極めて不合理だ。しかも、…………
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