Wedge SPECIAL REPORT

2021年12月21日

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フィリス・ヨシダ

大西洋協議会(Atlantic Council)国際エネルギーセンター上席特別研究員

2009~16年、米国エネルギー省のアジア、欧州、米大陸担当の次官補代理を務めた。そのほかに日本経済研究所(米国)、米国商務省、笹川平和財団(米国)などを経て、20年より現職。米カールトン大学文学士(政治科学/国際問題)、米ジョージワシントン大学博士(国際問題/東アジア論)。

「Wedge」2021年11月号に掲載され、好評を博した特集「脱炭素って安易に語るな」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
イラストレーション=泰間敬視

 東日本大震災、津波、東京電力福島第一原子力発電所事故から10年たった今も、日本はエネルギーのほぼ90%を輸入に依存し、国際市場の混乱、価格変動、地政学上の変化に影響を受ける状態にある。気候変動は予想よりも早く進み、洪水、干魃、山火事など極端かつ広範囲で命に関わる損害をもたらす気象現象を引き起こしている。菅義偉前首相は、2030年までに温室効果ガスを13年比で46%削減することを提唱した。

 その結果を受け、日本の政策立案者は最近、エネルギー戦略の改定を発表した。第6次エネルギー基本計画は、30年のエネルギーミックスを定めた18年の目標を改定している。再生可能エネルギーの比率を36~38%に引き上げ、化石燃料比率を41%に引き下げ、原子力発電は以前の比率(20~22%)を据え置いた。

 30年の温室効果ガスの排出目標達成のため、計画ではいくつかの前提が置かれた。30年のエネルギー、電力消費は減少するとされた。水素とアンモニア輸入により再エネの一部を賄うとした。将来の(温暖化影響の)緩和を目的とし、化石燃料から排出される二酸化炭素(CO2)を捕捉し、貯留のため海外に輸送することも示唆した。後者に挙げた二つの事例は、現在ほとんど存在しておらず、技術、コスト両面での挑戦となり、重要な役割を果たすためには壮大な活動が求められる。また、30年までに原子力の比率を20%まで増やせるかどうかも定かではない。

 そのため、このシナリオは実質ベースで温室効果ガス排出量をゼロにする2050年目標により適しているように思われる。とはいえ、30年の戦略は、30年と50年の双方の削減目標を達成する可能性を高めるべく、50年への確実な道筋を認識し、実行していくことが欠かせない。

 途方もない気候問題とエネルギー安全保障への挑戦には、全ての脱炭素の選択肢の活用と、より迅速な行動が必要である。日本の取り組みは再エネ支持者と原子力支持者の分断により、複雑なものになっている。日本は、この分断の問題を避け、必要な投資を先送りせず、成功裏に問題を解決するためにも現実的なアプローチを取るべきだ。このアプローチには、継続的なエネルギー効率の改善、国内の多様な低炭素エネルギー(原子力と再エネ)の増強、化石燃料(天然ガス、石油、石炭)の輸入抑制、そして石油消費削減を目的とした電気自動車の採用が含まれる。

 重要なのは、日本は孤立して行動することはできない上、

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Wedge 2021年11月号より
脱炭素って安易に語るな
脱炭素って安易に語るな

地球温暖化に異常気象……。気候変動対策が必要なことは論を俟たない。だが、「脱炭素」という誰からも異論の出にくい美しい理念に振り回され、実現に向けた課題やリスクから目を背けてはいないか。世界が急速に「脱炭素」に舵を切る今、資源小国・日本が持つべき視点ととるべき道を提言する。

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