2022年12月4日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年1月31日

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 EUは、12月8日に欧州委員会が提案した反抑圧法制(Anti-Coercion Instrument)を早期に実現し、その対象とすることによって中国に対抗することを考えるのかも知れないが、恐らく間に合わない。中国への対抗措置を講じ得たとしても、中国の抑圧が止むことは考えられず、その効果如何という問題がある。

問題はリトアニアがどれだけ耐えられるか

 台湾はリトアニアを支援する意向を表明している――中国税関に拒否されたリトアニアの貨物を出来るだけ多く引き受け(2万4000本のラム酒を引き受けた)、2億ドルの基金を設けてリトアニアに投資するとしている。EUとしても、リトアニアの支援の方が有効であり、これを検討すべきではないかと思われる。

 いずれにせよ、リトアニアが何時まで耐えられるかの問題がある。1月4日、リトアニアの大統領ギターナス・ナウセーダは台湾の代表事務所の開設自体ではないがその名称に(台北ではなく)「台湾」を使ったことは間違いだった、名称については自分に協議がなかったと述べた。

 彼は「台湾」の名称の撤回までも求めた様子はないが、政府内部における本件のその後の取り扱いは詳らかにしない。EUおよび加盟国にも名称の問題での騒動を不必要な騒動だと迷惑に思う向きがあるに違いない。かといって、中国に屈服する形になることは甚だしく望ましくない。

 どうなるのか分からないが、FTの論説が指摘するような、リトアニア危機が「世界の場でその利益を守るEUの能力の飛躍を導くこともあり得る」ことにはなりそうにない。

  
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