2024年4月20日(土)

勝負の分かれ目

2022年2月3日

チャレンジし続ける気持ちが原動力

 その恩師の〝予言〟は今、見事に的中した格好と言える。メンタルの強さを証明するように高木選手は「とにかく速くなりたい。そして成長したい」との言葉を口癖とし、まるで自己暗示をかけるかのごとく己の限界へとチャレンジし続けている。4種目ものレースで欧米の壁を打ち破った末に18年オールラウンド選手権を制したのも、また今大会の北京五輪で実に5種目において日本代表の座をつかみ取り、本気で5つのメダル獲得に照準を合わせているのも「速くなりたい」「成長したい」という純粋な気持ちの表れだ。

 仮に北京五輪で5つのメダルを獲得できれば、14年のソチ五輪で5種目に出場し、金2、銀3を手中に収めた「憧れの存在」であるイレイン・ブスト選手(オランダ)の偉業とも肩を並べることができる。

 「少しでも多くの種目にトライすることが、一番速くなる道だと感じる。短距離から長距離までやるのは大変なこともあるが、純粋に全部速くなりたいという思いもあります」とも語っている高木選手。北京の氷上では、さらに「成長」を遂げた姿とともにメダルラッシュで日本中を興奮の坩堝へと引き込んでくれそうだ。

 長引くコロナ禍で疲弊気味のビジネスパーソンたちもリンクを躍動する彼女の戦いぶりに勇気と感動を与えられ、同時に明日への活力も必ずやきっと植え付けられるはずである。

   
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