2024年11月13日(水)

勝負の分かれ目

2022年2月3日

 自身にとって3度目の五輪は重要な大役も兼ねている。北京冬季五輪に臨むスピードスケート日本代表の高木美帆選手は5種目に出場するだけでなく日本選手団の主将を務め、周囲からの期待値と注目度がひと際高い。

スピードスケート5種目でのメダル獲得を狙う高木美帆選手(YUTAKA/アフロスポーツ)

 それでも本人は「主将としては私がやれることは限られている。もちろん大役をしっかりとやり遂げたい思いはありますが、一人のスケーターとして戦いに来ている」と強調しつつ「まずは自分のやれることに集中して一つ一つやり遂げていきたい」とも述べ、大会本番のレースにかける意気込みを示した。当然ながら主将であることよりも競技に重きを置いて全神経を注ぎ込み、結果を出すことでおのずと日本選手団を勢い付かせることが可能になると確信している。 

選手としても個人・団体の5種目に出場

 決して主将の役割は簡単ではない。日本選手団を代表して取材対応をこなさなければならず、時間の許す限りにおいては他競技の会場へ足を運んで日本代表選手たちの応援に行くことも求められてくる。肩書きと役割が重荷となり、その重責も担うことになる日本代表選手団の主将は五輪で活躍できないというジンクスも以前からささやかれているものの、高木選手にとっては〝戯言〟に過ぎないだろう。

 主将に加え、北京五輪では500メートルから3000メートルまでの個人4種目と、団体追い抜きの計5種目に出場する。500メートルを含めた5種目で代表権をつかみ取ったのは1992年のアルベールビル五輪に出場した、あの橋本聖子氏以来のことだ。

 これだけの種目に出場し、世界トップクラスの選手たちとしのぎを削り合いつつギリギリの緊張感の中で戦い続けるためにはタフな精神力と強いフィジカルが必要不可欠。そのいずれも兼ね備え、27歳の今でも「成長」を続けている高木選手だからこそ今大会の北京では主将の重責にさいなまれることもなく過去2度の五輪を凌駕し、最高の成績を収める予感が漂う。


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