このままでは終われない。サッカーベルギー1部リーグ「STVV(シント=トロイデンVV)」へサッカー元日本代表のMF香川真司選手が移籍した。10日に行われたSTVV入団会見で香川選手は「新しいチーム、監督のもとで変化、進化していきたい」などと語って目を輝かせ、新たな意欲をみなぎらせていた。
これまでボルシア・ドルトムント(ドイツ)、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、ベシクタシュJK(トルコ)、レアル・サラゴサ(スペイン)、PAOKテッサロニキ(ギリシャ)と海外5カ国を渡り歩き、この新天地は6カ国6クラブ目となる。もう気が付くと32歳。かつてドルトムント、一時期はマンUでも大旋風を巻き起こした日本サッカー界のビッグネームはベテランの領域に入り、近年は明らかにもがき苦しんでいる。
ラブコールを受けギリシャ移籍も
公式戦出場は昨年9月が最後。だがこの時、在籍していたギリシャ1部のPAOKでは同クラブのオーナーでフォーブス誌・長者番付ランキングにおいて常連となるなど世界的な大富豪として名高いイバン・サビディス氏から直々にラブコールを送られて入団に至った経緯もあり、ほぼ〝将来安泰〟が約束されている立場のはずだった。
年俸1億円に出来高を加えれば、その倍以上の額を手にできる厚遇だったとみられ、PAOKの中でも香川選手はトップクラスの扱いを受けていた。いかに香川選手に対し、経営陣を含めたクラブ側からの期待値が高かったかを物語っている。
ところが結論から言えば、香川選手は期待に応えることができなかった。それまでもゲーム出場の機会が少なくPAOK移籍後、何とか試合勘を取り戻そうと必死に順応を試みるもチームメートたちからは好待遇が足かせとなって色眼鏡で見られ、クラブ内でも浮いた存在になり、苦悩の日々が続いた。
ケガが重なるなどコンディション不良にさいなまれ、人知れずメンタルの面でもダメージが蓄積し、試合に出ても結果を出せず次第にベンチメンバーからも外されるようになった。2021年の1月から1年半の契約で華々しくスタートを切ったPAOKでのプレーは昨年12月18日、クラブ側と本人の双方合意のもと契約解除に至るという、何とも寂しい形で〝終焉〟を迎えた。