2024年12月23日(月)

今月の旅指南

2013年2月22日

 学問の神様、菅原道真公を祀(まつ)る太宰府天満宮には、2月から3月にかけて多くの参拝者が観梅に訪れる。そんな華やいだ雰囲気の中、毎年3月の第一日曜日に催されるのが、平安時代の宮中行事を再現した「曲水の宴」だ。

梅の木の下で平安時代の宮中行事が繰り広げられる

 曲水の宴は、古代中国で陰暦3月最初の巳の日(上巳<じょうし>)に、水辺で執り行われた禊(みそぎ)の際に宴席を設けたのが起源といわれ、書聖として名高い王羲之(おうぎし)が客人を招いて曲水の宴を催し『蘭亭序』を書いたことでも知られる。日本に伝わってからは、宮廷や貴族の邸宅で開催されるようになったという。

 「道真公も宇多天皇の時代に宮中で曲水の宴に参加されています。大宰府では、大宰大弐(だいに)の小野好古(おののよしふる)が道真公を偲んで宴を催行したとの記録が残っています。それを昭和38(1963)年に神事として復活させ、現在に至っており、今年で50回目の開催となります」

 と、太宰府天満宮企画広報課の野村木乃実(このみ)さん。

平安装束姿の参宴者による行列

 太宰府天満宮の曲水の宴は、正午に十二単の姫など平安装束を身に着けた参宴者の行列でスタートする。社務所を出発した一行は参道や太鼓橋を通り、本殿に進んで参拝の後、会場となる曲水の庭に面した文書館に到着する。13時から神事を挙行、白拍子の舞や神楽舞が奉納される。

 盃の儀では、15名ほどの参宴者がゆるやかに曲がって流れる川に沿って着座し、上流から流れてくる盃が自分のところに来る前に短冊に和歌をしたため、酒盃をいただく。その後、短冊に書かれた和歌は詠み手が披露する。

「当日は曲水の庭の前に桟敷席を1100席用意、午前11時頃から無料開放します。梅の開花状況は、その年によって異なるのですが、昨年はちょうど一番よい時期に曲水の宴が重なりました」

 好天ならば10万人もの参拝者で賑わうという曲水の宴。梅の香りに誘われて、平安時代の風雅な世界に触れてみたい。

曲水の宴
<開催日>2013年3月3日
<会場>福岡県太宰府市・太宰府天満宮(西鉄太宰府線太宰府駅下車)
<問>☎092(922)8225
http://www.dazaifutenmangu.or.jp/about

◆「ひととき」2013年3月号より

 

 

 

 
 

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