「白人男性VS黒人女性」
黒人から人種差別を受けているというトランプ前大統領のメッセージを受信した白人男性の支持者は、バイデン氏の黒人女性最高裁判事指名に反対することは容易に想像できる。上で紹介したエコノミストとユーゴブの共同世論調査によると、20年米大統領選挙でトランプ氏に投票した有権者の57%が、すでに黒人女性最高裁判事指名に反対している。
トランプ前大統領は「白人男性VS黒人女性」という新たな対立構図を作り、支持基盤である白人男性の結束を図るために人種を絡めたメッセージを発信していることは確かだ。トランプ氏の応援団も黙っていない。
テッド・クルーズ上院議員(共和党・南部テキサス州)は、バイデン大統領の黒人女性最高裁判事指名の約束に関して、「『あなたが白人男性や白人女性ならば運がなかった。(最高裁判事になる)資格がない』と言っているようなものだ」と批判した。クルーズ上院議員は白人男性と白人女性に対する人種差別であるというメッセージを発した。
今後、クルーズ氏や他の共和党議員はバイデン氏の黒人女性指名の約束を、連邦最高裁における「アファーマティブ・アクション」とレッテル貼りをして、ますます攻撃を強めていくだろう。
仮にそうなれば、トランプ前大統領から黒人、ヒスパニック系並びに無党派層の票が逃げる可能性が高まる。黒人を人種差別者として非難する選挙戦略は、結局トランプ氏と共和党にとって逆効果になるのではないだろうか。