2022年12月5日(月)

ザ・ジャパニーズ3.0(昭和、平成、令和) ~今の日本人に必要なアップデート~

2022年2月19日

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桂木麻也 (かつらぎ・まや)

インベストメントバンカー

カリフォルニア大学卒業・内外の投資銀行に20年超の勤務経験を有する。クロスボーダーのM&Aに造詣が深い。著書に『ASEAN企業地図』(翔泳社)、『「選択肢」を持って「人生を経営」する』(ウェッジ)。

ステークホルダーの
利益とは何か?

 バブル崩壊以降の企業行動を、経営者によるステークホルダーに対する姿勢で考えてみる。企業はさまざまなステークホルダーに相対している。その中でもコアというべきものは、顧客、従業員、株主、取引先、銀行である。それぞれのステークホルダーの利害は、従業員の給与を上げれば株主への配当の原資が減少する、という具合に相反するものもある。

 そのような制約はありながらも、企業価値の向上を通じてすべてのステークホルダーの利益を増大させることが経営者の仕事であると筆者は考える。

ステークホルダーの利益を増大させることは経営者の責任だ (ALEXLMX/GETTYIMAGES)

 その概念を表したのが下図である。顧客の満足度を最大化しつつ、従業員が十分な処遇を得られ、株主も満足のいく配当を受け取る構図だ。取引先と銀行は、彼らの利益の最大化がビジネスの目的ではないが、健全な互恵関係があることが理想であろう。企業が成長している限りはこのような形になる。

(出所)筆者作成 写真を拡大

 バブルの時は、過剰なまでの借り入れをして資産を増やし、事業会社でありながら借金をしてそれを原資に金融投資を行うなど、銀行の利益最大化に協力するような姿勢が散見された。

 その後の結果はバブルの崩壊であり、国策として行ったことは金融の再生であった。銀行は過剰に膨張させたバランスシートの圧縮に懸命になり、企業に対して猛烈な貸し剥がしを行った。多くの企業は下図にあるように、銀行の利益を最優先せざるを得なくなった。顧客に対する責任は一定程度果たしつつ、返済原資捻出のため取引先、従業員、株主に過度な負担を負わせたのである。

(出所)筆者作成 写真を拡大
 銀行の不良債権問題が一段落した後はデフレが進行し、消費者の間で低価格が所与となった。経営者は、価格の上昇で顧客の支持を失うことを恐れ、より良い製品やサービスであっても廉価な価格を維持し続ける。そのために従業員の給与は抑制され、取引先にも苛烈な条件を要求し続けている(下図)。
(出所)筆者作成 写真を拡大

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