2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月23日

 台湾の蔡英文政権が成立した2016年には、台湾を外交的に承認する国の数は22カ国あったが、22年現在その数は14カ国にまで減少した。このような傾向に歯止めをかけることは、蔡英文政権の主要外交任務のひとつである。

Maksym Kapliuk / Pict Rider / iStock / Getty Images Plus

 今回、頼清徳副総統が、蔡政権を代表して、1月27日に開かれたホンジュラス大統領の就任式に参加し、台湾の存在感を示すことになった、とロイター記事が述べている。現地では陳副総統はホンジュラスのシオマラ・カストロ新大統領と会談したほか、短時間ながら米国副大統領カマラ・ハリスと会話を交わした。そして往路、頼はロサンジェルスに立ち寄り、ペロシ上院議長を含む米連邦議会議員ら17人とオンラインで会談した。

 台湾と米国の間では1979年に断交して以来、公的な場で米台間の首脳級が直接に接触する機会はなかったとされている。今回は就任式の会場で、頼が同じ列に並んで座っていたハリスに近寄って声をかけたという。

 カマラ・ハリスは「われわれが交わした短い会話」はこの地域におけるわれわれの共通の利益と米政府による移民抑制の基本的戦略に関するものであった、と述べている。頼はハリスに対し、米国の台湾に対するゆるぎない援助に感謝する、と述べたと伝えられる。

 中国の反応(台湾事務弁公室)は、いつものように激しいものであるが、「米国は台湾独立を支援しないという約束を実行に移すために実際の措置を取り、台湾問題で火遊びをするな」という内容である。

 ホンジュラスのシオマラ・カストロ新大統領は、選挙戦の際には台湾を捨てて、中国に乗り換えるとの考えを打ち出していたが、頼との会談において、頼が台湾より新型コロナウイルスパンデミックに対処するための物資の提供を申し入れたことなどもあり、「台湾の支援に感謝しており、両国の関係を維持したい」と述べるようになっている。


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