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バイデンのアメリカ

2022年2月23日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

捜査や調査の行方は共和党も注視

 このようなトランプ氏をめぐるさまざまスキャンダル、疑惑をめぐっては、民主党のみならず、野党共和党も、異なる理由から大きな関心を寄せている。

 ひとつは、中間選挙に名乗りを上げ、トランプ氏が公式に支持表明している各州の超保守派共和系候補への影響だ。

 去る2月9日付けのネット・メディア「Business Insider」によると、トランプ氏は大統領退任後、これまでに30州において、自分の過激な思想に「恭順の意」を示している上院、下院候補の絞り込みに力を注いでおり、すでに個人的に資金協力、遊説支援などを具体的に約束している支持候補者は100人に達した。その数はさらに増える見込みで、お墨付きをもらった候補者たちは今後、トランプ氏在任中のキャッチ・コピー「Make America Great Again=MAGA」の文字入りハットやTシャツ、その他の関連グッズを遊説先で配布することが認められるという。

 しかし、共和党指導部にとって気がかりなのは、もし、今後の事件捜査や議会調査で、トランプ氏本人並びに家族による脱税、不正取引などの実態が暴き出され、大々的に報道されることになった場合、それが有権者心理にどう影響を与えるかだ。

 CNNが去る3日、報じたところによると、すでにいくつかの州では、トランプ氏が支持表明している候補者の支持率低下や資金難が露呈しており、今後、トランプ・スキャンダルがさらに広がった場合、これまで劣勢だった民主党候補が逆転するシナリオも考えられるという。

 連邦議事堂乱入・占拠事件をめぐって、共和党内部に亀裂も生じ始めている。

 最も際立つのが、上下両院で指導的立場にあるミッチ・マコーネル上院院内総務とケブン・マッカーシー下院院内総務の間の見解対立だ。マコーネル議員は、同事件を「アメリカン・デモクラシーを蹂躙する謀反行為」と厳しく糾弾しているのに対し、トランプ氏に忠誠を尽くすマッカーシー議員は「憲法も保証する抗議集会」として擁護してきた。また、同党上院議員の半数近くが事件を起こしたトランプ支持過激グループと距離を置いているのに対し、同党下院議員の約7割が支持の立場だ。

「トランプ支持」の動きにも影響

 こうしたことなどを反映して、共和党内でのトランプ支持基盤の低下も伝えられる。

 米NBCが今年1月、共和党支持者を対象として実施した調査によると、「党支持よりもトランプ支持を重視」と回答した人が46%、「党支持を重視」と回答した人も46% と同率となった。2020年大統領選の際に行った同じ調査では「トランプ支持」重視者が54%と大きくリードしていたのと比較しても、その後、「トランプ離れ」が始まっていることを示唆している。

 一方、他の各種世論調査では、全米共和党支持層の間で、今なお、70%前後がトランプ支持を表明、24年大統領選についても、同氏の再出馬支持者が50%近くに達している。

 このため、民主党内では、中間選挙に向けて、トランプ人気の今後の推移が勝敗を左右する一つの重要なカギになるとして、下院特別調査員会による「1/06/2021(議事堂乱入・占拠)事件」調査や司法当局によるトランプ・ファミリー疑惑関連捜査の進展に対する期待がますます高まりつつある。

 バイデン・ホワイトハウスも、同様の立場であることに変わりない。

  
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