2022年7月5日(火)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年3月10日

»著者プロフィール
著者
閉じる

熊野孝文 (くまの・たかふみ)

元米穀新聞記者

1954年生まれ。東京経済大学中退後、コメの相場情報として米穀市況を速報する仕事に8年従事し、米穀新聞の記者として農家と卸売業者、小売店と、それぞれが取引する現場を40年取材してきた。近書に『ブランド米開発競争―美味いコメ作りの舞台裏』(中央公論新社)。

 バイオマスレジン南魚沼が設立されたのは17年11月で、比較的新しい会社である。前身はバイオマス関連の研究開発を進めるバイオマステクノロジーで、乳幼児玩具メーカーのピープル(東京都中央区)と開発したコメ由来のバイオプラスチックを使用した積み木や歯がためといった「お米のおもちゃ」シリーズが「口に入れても安心」といったところからヒット商品になり、コメのプラスチック樹脂(ライスレジン)の需要が急増。コメから作った純国産バイオプラスチックを主力商品にすべく、コメどころ南魚沼にバイオマスレジン南魚沼を設立した。

バイオマスレジン南魚沼の工場

 コメを原料にしたバイオプラスチックを製造するには特殊な技術が必要だが、同社によるともち米から餅を作る作業を連想してもらえば良いという。コメと樹脂を混ぜ合わせる「混練」と言う工程で、強度に応じてコメの含有比率を変えていく。最もコメの含有比率が高い製品は含有率70%と言う商品もある。

コメの仕入れから低価格を支えられるかがカギ        

 原料米は、精米工程で発生する砕米や清酒用のコメを搗精(とうせい)する過程で発生する米粉、さらには水害などで主食用に適さなくなった被害米などを使用している。ただ、こうしたコメの副産物は量が限られていることから、同社では必要なコメを自ら生産するためにコメ作りの会社を立ち上げて昨年から福島県浪江町でコメ作りに乗り出した。

 昨年は地元の生産者組織の協力を得て4ヘクタールで30トンのコメを生産した。ここでのコメ作りは主食用米と違うため一般的なコメに比べ1.3倍から1.5倍の収量が見込める多収穫米を栽培する。

 同社はコメ原料のバイオプラスチックについて、①国産米を使用したプラスチックである、②価格は石油系プラスチックと同等、③用途に応じて各種成形が可能という3つのメリットを上げている。とくに価格面で石油系プラスチックとほぼ同等というのは代替商品として大きなメリットがある。

 そのメリットを獲得するためには原料になるコメを安く入手しなければならない。砕米や災害による被害米なら一般的な主食用米に比べ大幅に安い価格で入手できるが、原料米を生産者と契約栽培して入手するとなるとコスト高になるのは避けられない。

 そこで、同社は国の制度に目を付けた。利用すれば助成金が得られるので、その分コメの仕入れコストを引き下げられる。

関連記事

新着記事

»もっと見る