2022年6月30日(木)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年3月10日

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熊野孝文 (くまの・たかふみ)

元米穀新聞記者

1954年生まれ。東京経済大学中退後、コメの相場情報として米穀市況を速報する仕事に8年従事し、米穀新聞の記者として農家と卸売業者、小売店と、それぞれが取引する現場を40年取材してきた。近書に『ブランド米開発競争―美味いコメ作りの舞台裏』(中央公論新社)。

 10年に施行された改正食糧法で「用途限定米穀」制度が導入され「飼料用米や加工用米などの用途限定米穀の用途外使用の禁止」がルール化された。仮に飼料用として生産したコメを主食用に販売した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。その分、国から手厚い助成措置が得られる。

 最も手厚いのが飼料用米で最高10アール当たり10万5000円が支給される。10アール当たり10俵収穫できるとすると、1俵当たり1万円を超える助成金になる。それ以外にも米粉用米や加工用米など農林水産省が「主食用でない」と認定すれば、用途に即した助成金が得られる。不思議なことは農水省の判断では冷凍米飯は主食用ではないとのことで加工用米としての認定が得られ、その分助成金が支給され、結果的にメーカーはコメを安く仕入れる。

コメ業界にブレイクスルーは起きるのか

 ライスレジンに使用するコメは主食用ではないため、用途限定米の対象になる。同社はこの制度を利用してコメを生産することにした。具体的には、栽培農家は農水省が転作作物扱いにしている「新規需要開拓米」としての認定を受け、10アール当たり2万円の助成金を得るという方法を選び、農水省に申請している。

 それに加え主食用でない多収のコメを作付して収量を上げれば原料コストが安くなるという目論見。実際、新潟県では、同社製品の供給先であるピープルが資源米の品種「新潟次郎」を作付し、収量を上げたコストダウンを達成している。

 福島県で契約栽培したライスレジン用のコメの仕入れ価格については明らかにしていないが、コメ作りの会社が「AI やIoTを活用して無人農業で資源米を生産する」と最新技術を活用した低コスト生産も模索している。

 全国的な需要減や高齢化によるなり手不足にあえぐコメ産業。バイオプラスチックという新たな市場が生産者を助け、業界を変革させる風を起こせるのか。ライスレジンにまつわるさまざまな取り組みが生産者や業界関係者の注目を集めることになりそうだ。

  
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