2022年12月5日(月)

2024年米大統領選挙への道

2022年3月11日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「自己犠牲」を受け入れる米国民

 バイデン大統領のウクライナ対応に関する支持率は52%、不支持率は44%で、支持が不支持を8ポイントリードした。前回の同調査では支持率が34%であったので、10ポイントも上昇した。

 こちらも一般教書演説の影響が少なからずあったとみてよいだろう。演説の冒頭でバイデン大統領は、ウラジミール・プーチン露大統領に対して敬称をつけずに呼び、「対プーチン」で米国民の結束を図り、最後に「1つの米国」を強調した。この演説の構成は実に効果的であった。

 米国と欧州がロシアに科した経済制裁については83%が支持すると回答した。制裁肯定派の69%が、「米国内でエネルギー価格が高騰しても、ロシアへの経済制裁を支持する」と答えた。

 彼らは「自己犠牲」の準備ができているというメッセージを発信している。党派別にみると共和党支持者は58%に止まっているが、民主党支持者の80%、無党派層の74%が自己犠牲を払うというメッセージを発した。 

 特にバイデン氏の支持基盤である大卒の白人女性は85%が自己犠牲に肯定的であった。これに対して、トランプ氏の支持基盤である高卒以下の白人男性は65%で、両者の間には20ポイント差がある。「米国第一主義」のトランプ支持者の「自己犠牲」肯定派の割合が、バイデン支持者と比較して低いのは納得がいく。

野党共和党重鎮からの圧力

 前述した米公共ラジオ、公共放送とマリスト大学の共同世論調査では、バイデン大統領のウクライナ危機の対応について、共和党支持者の73%が「慎重すぎる」と回答した。米議会では同党の重鎮リンゼイ・グラム上院議員(南部サウスカロライナ州選出)が、バイデン氏に対してロシアにより強硬な姿勢をとるように圧力をかけている。

 グラム上院議員はロシアのウクライナ侵略について自身のツイッターに、「この戦争を終わらせる唯一の方法は、ロシアで誰かがこの男(プーチン氏)を暗殺することだ」と投稿した。

 米議会での記者会見でグラム議員は、プーチン大統領の側近や軍部に対して同大統領への服従は戦争犯罪につながると認識させるべきだと主張した。「仮にロシアがウクライナを手に入れたら、中国は台湾を占領することを私は約束する」とも述べて警鐘を鳴らした。

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は定例記者会見で、プーチン暗殺に関して、バイデン政権の見解ではないと完全否定した。ただ、プーチン氏がウクライナ侵略をエスカレートさせれば、米議会はさらなる強硬論を展開してくることは確かだ。

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