2022年12月6日(火)

勝負の分かれ目

2022年3月22日

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 しかも何よりも不安要素に拍車をかけているのは、村田が19年12月23日のスティーブン・バトラーとのWBA世界ミドル王座防衛戦(横浜アリーナ)以降、2年以上も実戦のリングから遠ざかっている点だ。これはひいき目に見ても如何ともし難い。

 しかしながらボクシングIQが高く、知略家でもある村田には相手の意表を突くような緻密かつ頭脳的な戦い方もこなせるだけの「引き出し」がわれわれの思っている以上に隠されている。「勝てないと思ってない」とも言い放ったように自信があるからこそ最強の対戦者との一戦に望むつもりであり、単なるメモリアルマッチで終わらせる腹積もりでもない。

世界に驚きを与えられるのか

 思い出されるのは、19年7月12日にエディオンアリーナ大阪で組まれたWBA世界ミドル級王者ロブ・ブラントとの再戦である。それまでは手数の少なさを批判されていたが、このリマッチでは被弾覚悟で序盤からがむしゃらに猛攻を仕掛けると圧倒的不利の下馬評を覆して2回TKO勝利。米ラスベガスで大差の判定負けによって辛酸を舐めさせられた相手との一戦でまだまだ「引き出し」があるところを満天下に誇示し、見事に王座奪回を果たしている。

 自らも口にしているが、村田はゴロフキン戦で「ボディー」をキーワードとして念頭に置いているようだ。確かに個人的にもゴロフキンには、米ニューヨークで行われた19年10月5日のセルゲイ・デレフヤンチェンコ(ウクライナ)戦(IBO世界ミドル級王座決定戦)で判定勝ちを収めながら、相手の強烈なボディーに何度も顔をしかめていたシーンが記憶として残っている。そうすると、村田は「ボディー」を軸とした新たな「引き出し」によって活路を見い出そうとしているのだろうか――。  

 ボクシングアナリストではないので、これ以上の門外漢な分析はきっと的外れになってしまうからこの辺でやめておく。いずれにせよ、村田が本気で「勝てないと思ってない」と断言するゴロフキン戦はファン目線でとても楽しみだ。村田なら世紀の番狂わせで世界を驚かせてくれると信じたい。もしもGGGの壁を突破したら、ゴロフキンに代わってカネロが待ち受ける9・17のリングへ上がる――という夢の展開も早計とはいえ心の片隅では僅かに期待してしまう。

 世のビジネスパーソンの方々も〝史上最強の相手〟ゴロフキンと相まみえる村田の戦いと生き様から、きっと「何か」を感じ取るはずだ。4・9の歴史的一戦はぜひ目に焼き付けてほしい。

  
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