あの青春時代の記憶が蘇った人たちも数多くいたはずだ。3月1日に日本武道館で行われた「新日本プロレス旗揚げ50周年記念日」。記念セレモニーでは新型コロナウイルス感染症で重症化しながらも不屈の魂で復帰を果たした名リングアナウンサー・田中ケロ氏の名調子のもと、19人の大物OBたちがセルリアンブルーのマットに帰って来た。
井上亘氏、獣神サンダー・ライガー氏、小林邦昭氏、坂口征二氏、保永昇男氏、元レフェリーのタイガー服部氏、北沢幹之(魁勝司)氏、ミラノコレクションA.T.氏、田中稔、垣原賢人、山崎一夫氏、藤原喜明、前田日明氏、越中詩郎、木村健悟氏、蝶野正洋氏、武藤敬司、長州力氏、藤波辰爾……。蒼々たる面々がお馴染みの入場テーマ曲とともにリングインすると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
かつての昭和、平成の時代において壮絶な闘いでファンを魅了したスーパースターたちが再びリングで一同に会する光景はまさに壮観であった。
新日本プロレス(新日本)黄金時代を築き上げたタイガーマスクの佐山聡氏はパーキンソン病を患って闘病中のため、ビデオメッセージのみで登場。さまざまな事情によって会場に姿を見せなかった大物OBたちも多くいた中、やはり非常に残念だったのは新日本プロレスの創始者・アントニオ猪木氏が不在であったことに他ならない。
なぜか見られなかった猪木の姿
近年の猪木氏は難病「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」に罹患。アミロイドという物質が全身に溜まり、血液循環が悪くなる「100万人に数人」の難病を抱え、今も戦い続けている状況だ。
2020年以降は入退院を繰り返して一時は自身も死を覚悟するほどの状況だったが、現在は退院。自身の公式YouTubeで愛弟子の藤波、長州氏、藤原と対談し、元気な姿を見せるなど脅威の回復を遂げている。
昨年11月27日にNHK BSプレミアムで放送された自身のドキュメンタリー番組「燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~」がNHK総合で再放送され、大反響を呼んだのは2日夜のこと。奇しくも「新日本プロレス旗揚げ50周年記念日」のセレモニーが行われ、丸1日が経過して余韻の残る翌日だった。