2024年6月25日(火)

21世紀の安全保障論

2022年3月22日

米中露の3カ国が相まみえる外交の正念場

 バイデン政権にとって、今回のウクライナ情勢は、外交政策の正念場であることは言を待たない。昨年夏に、アフガニスタンから米軍を撤退させた際に、アフガニスタン政府があっという間にタリバンの攻勢を受けて崩壊、現地で大混乱を招いたことが、今回、ロシアに付け入る隙を与えたという批判がいまだにくすぶる中、バイデン政権にとっては、外交の不手際により情勢悪化を招き、ロシアのウクライナ侵略を許容したという批判を受ける事態だけは何としても避けなければならない。

 さらに言えば、ロシアに対し、自国が主張する立場(例:ロシア側が一貫して「譲れない一線」として主張する、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)非加盟に関するコミットメント)を武力によりゴリ押しすることを許してしまえば、米国が主導して第二次大戦以降、国連を中心として形成されてきた国際秩序を根底から揺るがす事態となる。米国一国だけではなく、国際社会全体のメンツがかかっている事態といっても過言ではない。

 さらにバイデン政権にとって悩ましいのは中国の動きだ。ロシアが中国に対して軍事支援を要請したことで、これに中国がどのように対応するかも、バイデン政権は注視している。

 すでに一部の米系メディアでは、中国が対露軍事支援で前向きであるという報道が出始める中、バイデン大統領は、習近平主席と3月18日に電話会談し、中国がロシアに軍事支援を行うようなことがあれば中国にとって「重大な結果」を招く、と警告した。

 ウクライナ情勢が長引くにつれ、「中国・ロシアVS西側諸国」という構造が浮かび上がる中、バイデン政権は、今後、ロシアと中国という、「戦略的競争相手」に認定した2カ国との「冷戦」を同時にマネージしていかなければならない可能性が高くなった。

 すでに発表時期が近いと言われていた「国家安全保障戦略」や「国防戦略」の発表が先送りになっているのも、この戦略環境の大きな変化への対応をどのように政権の安全保障政策を支える2つの重要文書に反映させるかで、政権内で議論が続いているためだとも指摘されている。

中間選挙に向けても「両刃の剣」

 外交政策面だけではない、事態が収束する気配が一向に見えない中、バイデン政権の今回の事態への対応は、11月に控えている中間選挙にも大きな影響を与える。事態がウクライナ・ロシア間の外交的解決、その結果ロシア軍のウクライナからの撤退――という方向で収束すれば、同盟国との連携を国際社会で主導しロシアに厳しい経済制裁を課し、ロシアに大きな代償を払わせ、紛争拡大を防ぎ、国際秩序の維持に成功したとして、バイデン政権にとって大きな追い風となる。

 しかし、その逆に、紛争が一進一退を辿り長期化した結果、石油価格の高騰など、国民の生活を直撃する事態が長引くようなことになれば、「初動で断固とした対応を取らなかったバイデン政権に責任がある」という批判を招く。中間選挙に向けて「弱腰外交でロシアに付け入る隙を与えたバイデンと民主党」という絶好のプラットフォームを共和党に与えることになってしまう。


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