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田部康喜のTV読本

2022年3月31日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

若者に失敗する勇気を

 番組のなかで、新成人たちが可能となる社会・経済活動のうち、「起業」が取り上げられたのも、そうした政治イデオロギーの問題とパラレルである。親の承諾なしで、起業できるようになる。

 愛媛県八幡浜市在住で、ミカンジュースの会社を高校時代の2年前に起業、経営している、渡部透馬さん(18歳)が、リモート出演した。

 実家が、「甘平(かんぺい)」と呼ばれるミカン農家である、このミカンは1個300~400円で売れる。ちょっとした傷があれば市場に出すことができない。高校生の渡部は、ジュースにして販売することを考えた。

 渡部の似顔絵を貼った瓶詰である。1本1500円、売上高はいまのところ60万円に過ぎないが、今年度の決算は黒字だ。

 さまざまな壁に悩まされた。通信販売のサイトをつくるためには、親の同意が必要だった。銀行口座もそうである。親の同意があろうとも、借り入れはダメだった。地元の道の駅での販売交渉には、母親の同席が必要だった。

 そして、起業当初は、通学していた高校には内緒だった。校則で、アルバイトは禁止で、起業は禁止とは決められてはいなかったが、躊躇した。ジュースの販売が軌道に乗るにつれて、高校も認めてくれたという。

 成人年齢の引き下げを受けて、渡部さんは「いろいろなことに挑戦しやすくなる」という。

 さらに、日本社会への注文を聞かれると「企業の年功序列制度とか、少しずつ変えていかなければならないのではないか」と答えた。

 WEBマガジンの編集長を務め、インスタグラムのフォロワーが14万人いる、小浜桃奈さん(18歳)も語る。「若いうちから失敗を学んで欲しい。大人も失敗を認めて欲しい」と。

 コメンテーターの兵庫教育大学大学院准教授の神内聡さんは、日本社会のありようについて、次のように指摘する。

 「失敗が許されないという雰囲気がある。挫折した人が、救われてきた情報を共有していけばいいと思う」

揺れる成人と「自立」への考え方

 番組が、18歳と19歳の「成人」と、その親それぞれ1000人を対象にした、アンケートが「現代」を映している。

 成人年齢の引き下げについて、親の側が「どちらかというと不安」と「不安」を足し合わせると、約6割以上が不安を抱いている。これに対して、成人の側はそれが5割弱である。

 成人になって、「自立」に焦点を当てた質問はどうか。親の側は、3割以上が自立して欲しい、と考えている。成人の側は自立したいのは2割弱である。

 社会は、成人年齢の引き下げについて揺れている。

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