2022年12月6日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月5日

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 3月16日付のウォールストリート・ジャーナル紙のWei記者の記事によれば、中国政府内では、最近の民間企業に対する引き締め、新型コロナウイルスの感染再拡大、エネルギーや商品価格の高騰などにより、2021年第4四半期の中国経済の成長率が大幅に低下したことに危機感が高まっており、習近平の親ロシア政策を批判する論文が発表されたり、朱鎔基元首相などの長老からはこの秋に決まるであろう習近平の権力維持に疑問が提起されているという。真相は不明だが、このような雰囲気の中で米国のみならず欧州連合(EU)や日本とも対立する露骨なプーチン支援を行うことは難しいのではないか。

中国は停戦協議を舵を切れるのか

 ウクライナでの人道危機を一刻も早く解消する必要があるが、情勢の展望はかなり悲観的に思える。ウクライナとロシアは停戦交渉をしているというが、交渉の内容には将来の政治解決の在り方が含まれており、交渉は本来戦闘を停止した状況で行うべきものである。また、そもそも戦争犯罪人であるプーチンと和平を交渉することは道義と両立するのかという問題もある。

 プーチンはこれ以上のロシア人将兵の損失を抑えるため、シリア人傭兵の展開や体制を立て直すための時間稼ぎをしているに過ぎないように見える。今後は、傭兵の投入、ミサイルや砲撃による無差別攻撃に重点を置き、交渉を有利に進めウクライナ側が屈服するのを待つつもりかもしれない。

 他方で、西側としては、経済制裁を更に強化、徹底の必要があるが、制裁だけではプーチンは引き下がらず、完全な言論統制を行うロシア国内にプーチンを直ちに退陣させる展開は期待できそうもない。

 このような状況で、中国政府が、ロシア支援と経済面で不可欠な欧米諸国との関係維持を両立させることは、もはや困難であることを理解することを期待する。その上で、ロシアに停戦を呼び掛ける多国間会議開催のイニシアティヴを取るなど、具体的行動が望まれる。

  
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