3月18日に行われたウクライナ問題に関するバイデン・習近平会談について、同日のワシントン・ポスト紙が、エレン・ナカシマら3人の記者連名による解説記事を掲載している。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後4週間が経過し、ロシアは予想以上の抵抗にあい、また、西側諸国による厳しい経済制裁に苦しみ、当然友好国である中国に支援を求めることが予想される状況である。
3月18日に行われた米中首脳会談のバイデンの狙いは、まず、中国がロシアを支援しないように、くぎを刺すことにあった。ホワイトハウスのプレス・リリースに、「ウクライナの都市や市民に対して残忍な攻撃を行っているロシアに中国が物質的支援を行った場合の影響と結果について説明した」とあるが、この「物質的支援」とは、画一的な定義は無いが法令用語としては、武器・弾薬の援助のみならず資金的支援その他の利益の供与も含む場合があるので、米国等による経済制裁措置の効果を減ずるような経済的支援も含まれる余地がある。
米国が対ロシア禁輸措置を取っている米国製のハイテク機器やソフトウェアを中国企業がロシアに輸出すれば、当該中国企業は米国通商法に基づく制裁対象となる。問題は、中国がロシアの石油やガスを購入する場合であろう。
習近平は、そもそも米国の制裁自体が一般人を苦しめ、制裁が拡大すれば世界経済が大混乱に陥るとして、制裁自体に反対している。しかし、中国・ロシア関係に世界の注目が集まっている状況において、ロシアを支援すれば中国は国際社会からロシアの戦争犯罪の共犯者と批判されることを覚悟しなければならないだろう。