これに対し、米国は、冷戦期には東西対立の観点からアフリカの、開発支援や民主化支援に積極的に関与してきたが、冷戦後は中東情勢もあり、相対的に関心が薄れたと言える。特に、トランプ政権時代にはトランプの暴言と無関心により、アフリカの信頼を大きく損なった。バイデン政権は、国内政局がらみで黒人層を重視し、アフリカ重視の姿勢は示しているが、中国に対する対抗という面が強く、より具体的な政策表明ときめの細かい国別の対応が望まれていた。
関与を継続し働きかけが必要な欧州
問題は、独裁的な政権やガバナンスに問題があると、欧米は、経済援助や軍事的支援を控えることになるが、そこに、経済面では中国が、軍事面ではロシアが入り込み、影響力の拡大を図るといったパターンが繰り返されることだ。欧米は、関与を継続しつつ民主化を働きかけるといった、状況に応じた柔軟な対応が必要であろう。
他方、アフリカ諸国が、明らかな国連憲章違反、国際人道法違反であるロシアのウクライナ侵略に対し、ロシアを非難せず制裁に協力しないことは、結局ロシアの立場を擁護し、ひいては国連や国際法の存在意義を損なうことになる。
強権的親ロシア政権は別として、セネガルや南アフリカなどそうでもない国々に対しては、国際社会の一員として責任ある立場をとるよう、西側諸国は調整して特使などを派遣し説得する努力が必要であろう。