2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月25日

 台湾への侵攻を計画するのであれば、中国指導部は西側企業がボイコットに及ぶことを覚悟せざるを得ず、それがどの程度のものかを計算せざるを得ないであろう。勿論、西側企業にとって中国市場は巨大であり、その世界経済との統合の深度にはロシアとは比較にならないものがあるので、ボイコットは容易ではなかろうが、逆に、それだけにボイコットは遥かに大きなインパクトを持ち得るかも知れない。

今後も強まる倫理的な観点からの行動

 この論説のウクライナ戦争との関連における中国への言及に関して言えば、中国が公然と武器なり資金なりをもってロシア支援に乗り出すことを宣言するのであればともかく、隠微な形で西側の制裁の効果を薄める行動をする程度のことであれば、西側企業が行動する可能性は低い。

 香港の事態に西側企業が反応した訳ではない。新疆のウイグル族の問題の故に、西側企業が北京オリンピックのスポンサーを辞めた訳でもない。

 しかし、この論説が示唆するように、国家の行動に対して企業が倫理的な観点からの市民社会の圧力により積極的行動を求められ、試練に当面する傾向は、今後とも強まり続けるであろう。

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