2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月6日

 メキシコは、後者の決議には棄権し、ブラジルのルーラ候補もBRICSの関係等から恐らく同じ立場(現政権と同様)を取るのではないかと推測される。キューバ、ニカラグア、ボリビアは、ロシア非難決議に棄権、人権理事会資格停止決議には反対した(ベネズエラは分担金未払いで投票権停止中)。

 アルゼンチンやチリの左派はニカラグア政府の人権侵害を非難しており、その人権重視の姿勢は、独裁化への歯止めとなるものとして評価できると考える。

必要な選挙介入と強権化への注視

 問題は、今後、政権維持のため選挙介入を行い、議会で絶対多数を取れば強権化していく可能性のある政権が無い訳ではなく、中国やロシアが影響力を強めている状況の下で、国によっては、地域の安定を損ねる動きや独裁のトロイカに取り込まれるような懸念があることであろう。独善的な傾向を強めるAMLOのメキシコやペトロが大統領となった場合のコロンビアの外交政策は要注意と思われる。

 このような傾向への懸念は、エルサルバドルやブラジルのボルソナーロなど右派のポピュリスト政権にも存在する。したがって、ピンク・タイド現象が無いとしても、また、政治的多様性がラテンアメリカにとって幸運だとしても、この地域の情勢に安心できるわけではない。

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