50代で仕事を“リセット”する意味
辛坊さんは、月曜日から土曜日まで毎日、朝の生番組に出演している。他にラジオ、雑誌連載、年間200回の講演など抱える人気キャスターだ。太平洋横断中の仕事は休むことになる。不安はなかったのですか?
「実は2年半前に読売テレビを辞めています。その段階でいったんリタイヤしたつもりだった。市議になって、市民感覚の地方自治をやってみたいと。ただ、まだ子どもを大学に入れていないという不安がありました。すると辞める約半年前から始まった番組が軌道に乗り、続けてほしいと言ってもらえた。あと少し頑張ってみようと思ったら有難いことに仕事が激増した。タイミングがないかと思ってたら比企さんが現れた。1年前でも1年後でも乗れなかった。すごいタイミングでした」
そこから話はトントン拍子で進んでいった。「誰も止めてくれなかったんです」と辛坊さんは苦笑いする。
比企さんは12年末に吉本興業を退社。市民マラソンの企画などを行うランナーズウェルネス(RW)社に転じた。同社代表の坂本雄次さんは、日本テレビ「24時間テレビ」でマラソンランナーの指導・伴走者をずっと続けている。実は、東京電力陸上部監督だった坂本さんに起業のきっかけを与えたのも比企さんである。
「24時間テレビ」の第1回マラソンランナーは間寛平さん。当時マネージャーだった比企さんはマラソン企画の仕掛け人でもあった。ルート設定・ウルトラマラソンの専門家を雑誌『ランナーズ』編集部に相談したところ、紹介されたのが坂本さんだった。坂本さんはその後、本当に自分がやりたい仕事をとRWを創業した。
「吉本で約30年。経理以外はありとあらゆる仕事をやらせてもらいました。その結果、どんな仕事も想像がつくようになった。後輩たちがやってることを自分の枠にはめて判断してしまうのが嫌になったんです。