RWという新しい環境に身を置くと、箱根駅伝に出た人とか、ただただ走ることが好きな人とか、みんなを素直にリスペクトできる。もう一度裸に戻って、新しい仲間たちと新しいことをやるなら今しかないかなと」
「僕は仕事のやり方をすべてヨットから教わりました。24時間テレビもアースマラソンも、完成図が見えないものは実現できない。基本設計に入るまでに時間をかけ、ディテールを積み上げる。完成図ができたら、ひとつずつトレースし、与えられた時間で徹底的に潰していく」
2月24日。比企さんが仲間たちと全ての土日を費やして全面的に整備し直した「エオラス」が辛坊さんに引き渡された。この日から辛坊さんが船長だ。これから辛坊さんと岩本さんはエオラスでトレーニングを積んでいく。
辛坊さんはこう言って表情を引き締めた。
「97年に航海練習船・海王丸に乗せてもらったんですが、そのレースで、日本一のセーラーと呼ばれていた南波誠さんが高知沖で落水しました。いまも行方不明です」
冒険は蛮勇ではない。徹底的な準備を前提とするが、最後に踏み出す勇気がなければ、冒険は始まらない。“50代のリセット”と太平洋横断はどこかでつながっているのかもしれない。
(編集部:大江 紀洋) (撮影:田中まこと)
辛坊治郎(しんぼう・じろう)
1956年大阪府出身。早稲田大学法学部卒業後、読売テレビ放送入社。キャスター、解説委員長等を歴任。現在、大阪綜合研究所代表。
比企啓之(ひき・ひろゆき)
1963年兵庫県生まれ。甲南大学卒業後、吉本興業入社。よしもとデベロップメンツ代表取締役社長等を経て、現在ランナーズウェルネス取締役。
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