2024年6月16日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年5月20日

 何か問題が起ればすぐに責任追及がなされる中国で政府が発表した措置やルールを地元当局が勝手に厳格化することはしばしばだ。また、この3分類は、陽性者の出具合によって地元当局が居住区やマンションに通知を出すことでようやく正式変更されるが、陽性者ゼロ期間が変更条件を満たしても通知が来ず、来ないうちにまた感染者が出て「封鎖第1日目からリスタート」というケースも散見される。

 管轄エリアで陽性者が出ることはゼロコロナ政策の障害にしかならないため、いつも以上に地元当局の過剰反応がでている。市民の4分の3以上が外出できているとは到底思えないほど街が静まり返る中、政府発表に対する市民の不信感は高まる一方だ。

まるで「実験室で飼われたネズミ」

 活動再開が全く見通せない影響は、上海に拠点を置く日系企業にも当然出ている。上海日本商工クラブが行ったアンケート調査(5月5日公表)によると、回答のあった100社のうち、約6割の企業の工場が「全く稼働していない」、「3割以下の稼働率」とする企業もあわせると、約9割の企業が深刻な状況にあるという。

 そして活動再開どころではないのが最も厳しい措置が取られる「封鎖区」。こちらでは家族以外と話をする機会はほぼなく家から出ることも許されないので、「外界」からシャットアウトされている状態だ。

 検査の頻度は高く、中には20日以上連続でPCR検査、さらにこれとは別に1日2回の抗原検査を課せられた住民もいる。この住民は「ゼロコロナ政策という名の巨大な実験室で飼われたネズミのようだ」と心境を語った。

 PCR検査の結果は翌日朝までにほぼ判明するが、基本的に政府から結果判明の知らせはない。スマートフォンのアプリに反映されるのを自分で確認することになっていて、陽性であれば隔離施設行きとなるため、結果画面を開く時、手が震えることもあるという。

 そして万一、政府側から何か連絡が入ったとすれば、それは「赤紙」である。結果がすでに出ているであろう時間帯に携帯電話や部屋の電話の音が鳴る、あるいは家のドアがノックされようものなら心拍数はマックスに。実際は宅配の商品到着連絡のケースが多いが、そうと分かっていても、これらの〝呼び出し音〟によって、連日、裁判の判決の時を迎えたような気分にさせられるという状況だ。

 こうしたPCR検査をめぐる苦悩は頻度や度合いに違いはあるものの、ロックダウン下の上海市民であればみな経験することだが、ここにきて〝偽陽性〟疑惑も浮上している。市の中心部に位置する区のある住宅地で、PCR検査の結果、〝陽性者〟とされた13人が隔離先に移送後、受けたPCR検査では全員が「陰性」だったのだ。

 13人を陽性と判定した検査機関は同一で、激怒した住民側はこの検査機関は信用性に欠けるとして当局に猛抗議。市政府が調査に乗り出し、厳正に対処する姿勢を示している。PCR検査の結果は市民にとっては即隔離につながる大問題。しかも劣悪な環境で交差感染の危険が語られているような隔離先もあるため、一部中国メディアには「偽陽性によって搬送された隔離施設で、本当の陽性者になる可能性」を指摘する記事もみられた。


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