ウィクラマシンハはフィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューで枢要な消費者物資や肥料の輸入に当てるために中国から数億ドルの融資の申し出を得ていると述べている。それがインドとの関係を損なうことはないとも述べている。
注目集まる中国の動き
6月2日付けの同紙社説‘Sri Lanka’s problems are an alarm call for emerging markets’は、スリランカの問題はすべてがスリランカに特有の問題ではなく、先進諸国のインフレ、金利の上昇、食料と燃料価格の高騰など途上国に共通の問題であることを警告し、途上国が同様の債務問題に当面する可能性があることを指摘している。同時に、過去に比べて債権者の構成が多様化・複雑化し、中国の重みが増しているため、途上国の債務問題の解決がそれだけ困難性を増していることを指摘している。
スリランカは中国に対してその債務35億ドルの再編を要請したが、中国はこれを拒否し、代わりに緊急融資を申し出たものらしい。中国の行動は、債権者として当然あり得る行動かも知れないが、中国がどの程度柔軟に債務の再編に応じ、あるいは一定の損失を被る用意があるかが、途上国の債務問題の解決に重要な意味を持つであろう。
まして、中国が債務の重圧に苦しむ債務国の弱みにつけ込むことは論外である――かつてスリランカはハンバントタ港の13億ドルの建設プロジェクトを中国に頼ったが、後に、債務の返済に行き詰まり、2017年7月より99年間にわたり中国国有企業に運営権を譲渡することとなり、中国の「債務の罠」として知られることとなった。上記社説も指摘する通り、スリランカの問題は途上国全体にとって重要なテスト・ケースとなろう。