2024年11月20日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月22日

 スリランカは5月、債務不履行に陥った。国際通貨基金(IMF)の見積もりによれば、スリランカの債務総額は2018年の国内総生産(GDP)比91%から21年にはGDP比119%に上昇したと見られる。

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 ラジャパクサ政権は事態をコントール出来ているという振りをしていた。外貨準備が枯渇しつつある状況にあって(5000万ドル程度に低下)、ルピーを防衛し、対外債務(500億ドル)の元利支払いを続けた。

 ドルを節約するために肥料の輸入を止めたが、有機農業の促進のためだと偽装した――しかし、生産高が急落するに及んで廃止せざるを得なくなった。ウクライナの戦争が最後の一撃となった――輸入する石油と食料の価格を押し上げ、外貨準備の不足のために配給制を導入することになった。インドの30億ドルを超える財政的支援を得て食いつないで来たようであるが、万策尽きることになった。

 経済混乱の責任を取る形で、5月9日に首相のマヒンダ・ラジャパクサが辞任し、代わって5月12日に最大野党UNP(統一国民党)の党首ラニル・ウィクラマシンハ元首相が首相に就任した――組閣の難航のために財務相を兼務している。

 スリランカは5月19日に債務不履行に陥った。スリランカはこれまで債務不履行を起こしたことはないが、アジアでは1999年のパキスタン以来のことである。スリランカは40億ドルのIMFプログラムを要請しているが、交渉妥結までの間の繋ぎとして中国の支援に期待しているようである。


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