2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月12日

 現在三国には夫々約1000人のNATO軍が駐留している。6月中旬、ドイツは更に3500人の部隊をリトアニアに派遣することを決めたが、その大部分は有事の際の緊急展開部隊である。多くの欧州諸国はこの展開形式を支持しているが、リトアニアでは余り歓迎されていないという。

ロシアもベラルーシとの協力でけん制

 バルト三国は、ローテーション展開ではトリップ・ワイヤにならないとして、NATO軍の完全な前方常時展開を求めている。なお英国はエストニアの、カナダはラトビアの、米国はポーランドのNATO部隊を主導している。現在NATOは東方側面に約4万人を配備している。6月27日には、NATOは、この即応兵力を7倍以上に増やすことを明らかにした。

 6月25日、プーチン大統領は、ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、「今後、数カ月以内に短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」をベラルーシに供与していく」ことを確認した。これはリトアニアや欧州へのけん制と見られている。

 イスカンデルは核兵器の搭載が可能である。スヴァルキ・ギャップは極めて危険な事柄であり、リトアニアや欧州側は慎重に対処することが肝要だ。小さなことが大戦に繋がりかねない。

 6月28日、フィンランド、スウェーデン、トルコ、NATOの首脳が会談し、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟支持につき覚書に署名し、トルコの反対を解決した。良いことだ。この2国の加盟により、バルト三国の安全保障形勢を大きく変えるだろう。バルト海、フィンランド湾等でのロシアに大きな打撃となるだろう。

 ここ数カ月、一般的に西側とロシアや中国とのコミュニケーションが希薄化しているような印象を受ける。意思の疎通が難しくなっているのかもしれない。懸念される。

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