お客様と薬剤師の〝共通言語〟
今後の薬局に求められる役割
オープン当初に開始した野菜の販売は「元々は従業員との雑談の中から生まれたアイデア」と田辺社長は語る。「薬に関しては『専門家』と『患者』という関係性ができてしまうが、野菜は多くの人にとってフラットに話せる〝共通言語〟であるため、目線の合った会話ができる」という。
事実、髙須賀さんは「訪れたお客様に日々、野菜の調理法などを紹介しているが、ときには逆に教えてもらうこともある。そんな普段の何気ない会話が入り口となって、健康に関するさまざまな相談を受けるうち、いつしか本業の処方箋対応へとつながった人も多い。高齢の男性に便秘に効く野菜を紹介したことがきっかけで健康相談をされるようになり、今では5カ所の薬局で受け取っていた処方箋の全てを任せてくれるようになった」と話す。
「薬局ランタンで販売している小松菜のファンだ」という70代の女性は週数回、ジムの帰りに足を運んでいる。「来店するといつも髙須賀さんが『今日はこの野菜がオススメですよ』と声を掛けてくれる。ただお薬をもらうだけでは得られない〝親しみやすさ〟と〝信頼〟を感じている」と嬉しそうに話す。
「薬」だけでなく、野菜や健康食品、さらには信頼感すらも提供する。来店する客それぞれへとつながる「会話の架け橋」こそ、薬局ランタンの強みだ。誰もが気軽に立ち寄ることができ、気になることをなんでも相談できる〝まちの健康相談所〟。そんな役割を果たす薬局が増えていく未来があってもいいのではないか。
安全保障と言えば、真っ先に「軍事」を思い浮かべる人が多いであろう。だが本来は「国を守る」という考え方で、想定し得るさまざまな脅威にいかに対峙するかを指す。日本人が長年抱いてきた「安全保障観」を、今、見つめ直してみよう。