高いハードル
ただ、世論調査結果をみると中間選挙において人工妊娠中絶の権利擁護のみで、民主党が共和党に勝利できる可能性は低いと言わざるを得ない。エコノミストと調査会社ユーガヴの共同世論調査(22年7月16~19日実施)によれば、人工妊娠中絶の権利を「重要である」と回答した有権者は、全体で75%であった。
20年米大統領選挙でバイデン氏に投票した有権者は89%、郊外に住む有権者は83%が「重要である」と回答しており、全体よりも8ポイントから14ポイント高い。しかし、物価高騰に関しては、全体で93%が重要な争点であると答えた。物価高騰は人工妊娠中絶よりも18ポイントも高い。
20年米大統領選挙でバイデン氏に投じた有権者も、物価高騰について93%が「重要である」と回答した。郊外に住む有権者は94%が物価高騰を重要な争点として位置づけている。
ちなみに、銃問題に関しては全体で84%が重要な争点であると回答した。人工妊娠中絶の問題よりも、9ポイント高い。従って、3つの争点における重要度の順位は、物価高騰、銃問題、人工妊娠中絶になる。
ということは、バイデン氏が人工妊娠中絶の権利擁護について様々な対立構図を用いても、中間選挙における勝利へのハードルは高いかもしれない。