2023年1月31日(火)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2022年7月30日

»著者プロフィール

5カ国首脳会議の署名を拒否した2カ国

 しかし、今回、タジクとトルクメニスタンは最終合意に調印することはなかった。まず、タジクであるが、こちらはアフガニスタンと国境を接しており、タリバンの脅威がすぐ近くにある。国境紛争になったときに、頼りになるのは、「腐ってもプーチン」というわけだ。

 一方のトルクメニスタン。ベルディムハメドフ大統領は、弱冠40歳。今年3月に父親から大統領職引き継いだばかりだ。日本的発想で「上司に持ち帰って相談します」ということのが落ちではないかと考えられる。

中央アジア5カ国の地図(pop_jop/gettyimages) 写真を拡大

中央アジア5カ国のスタンス

 中央アジアと括ってはいるが、そこには5通りの考え方や抱える事情がある。旧ソ連から独立して最も順調に成長しているのが、カザフとウズベクだ。第1回目でも書いた通り、カザフは有能なトカエフ大統領のもと、中国とロシアとのバランスを取りながら成長の果実を大きくしている。

 5カ国のなかでも最も人口が多いのがウズベクだ。約3500万人を有する。今回、首都タシケントを訪問したが、その発展ぶりには目を見張るものがあった。また、平均年齢も若い。こうした様子を見ていると、東南アジアもいいが、ウズベクなども、日本企業にとって魅力的な市場ではないかと思えてくる。

 産業としては綿花だ。栽培だ。ウイグル産の綿花について不買い運動が起きるなかで、ウズベクの綿花への注目が高まっている。ただし、ボトルネックとなるのが水だ。アラル海が消滅の危機にあるように、旧ソ連時代からの過度な水資源の利用のツケが今出始めている。

 次にトルクメニスタンだ。「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれることもある。選挙を経たとはいえ、前述の通り、息子が父親から大統領職を引き継いだ。天然ガス資源が世界4位ではあるが、それ以外に目立った産業はない。ただ、ここに来てロシアの天然ガスを欧入が輸入できなくなっていることから、ドイツなどがトルクメニスタンへの投資を増やすという判断をする可能性もなくはない。

 プーチン大統領が、ウクライナ戦争後に、初めての外遊先として選んだのが、このトルクメニスタンだ。「中央アジアの北朝鮮」、つまりは専制国家であり、ロシアはその後ろ盾になるというわけだ。もう一つ、プーチンが訪問したのがタジクだ。こちらはタリバン問題に頭を悩ませる。プーチンも相手の台所事情を踏まえて行動しているわけだ。ちなみに仄聞したところによると、訪問したプーチンは両国民から大歓迎されたという。


新着記事

»もっと見る