台湾独立派の個人や団体・企業にも制裁
中国当局は、台湾の個人や企業への制裁もためらわなかった。中央通信社によると、情報機関の国家安全局の出先機関は4日、浙江省温州市で「長期間、台湾独立分裂活動に従事し、国の安全に危害を与えた疑い」で、「かたくなな台湾独立分子」として台湾市民の楊智淵氏を逮捕した。
中国国務院台湾事務弁公室は4日、「台湾独立に関与した機関と企業」として、台湾の台湾民主基金と国際合作発展基金会の2機関、宣徳能源、凌網科技、天亮医療、天眼衛星科技の企業4社を制裁の対象として公表した。中国企業と個人は、これら機関・企業の接触が禁じられる。また2機関・4社の責任者は、中国本土の入国禁止となる。
同弁公室によると、2機関は民主主義や国際経済協力を隠れ蓑に、台湾独立活動を行い、国外の反中国勢力と結託して中国を中傷した。企業4社は、これら2機関に寄付を行った。
台湾市民は今のところ平静だが
中国が軍事行動を続ける中、今のところ台湾市民は至って平静のようだ。英BBC放送(中国語版)によると、台湾南部、屏東県沖の離島、小琉球は、4日にミサイルが落下した海域からわずか9~12キロメートルだが、スキューバダイビング教室の業者は業務を継続し、「心配しても仕方ない。生活は全くいつも通りだ」と述べた。ミサイル発射でも、キャンセルはないという。
北部の宜蘭県から小琉球に観光に訪れた女性は「軍事的な脅威は、初めてではない。わたしは怖くないので、予定を変えなかった」と述べた。また、金門県でも、無人機の飛来が相次いでいるのに、住民は平然としているという。
ただ、今後、中国の軍事行使が続けば、台湾人がどこまで平静でいられるか分からない。風伝媒によれば、占術の一つ「数秘術」の専門家、小孟老師の見立ては極めて的確だ。老師は年初、今年は戦争の年になるとみていたが、ウクライナで的中した。
小孟老師は、中台で戦争が起きるとすれば2025年以後とみており、「習近平氏は、台湾を叩きたいが、我慢している。中国経済が強くなり、政権がさらに安定すれば手を出す。彼は、今手を出す意味はない」と語る。
小孟老師は「今後の軍事行動は、もっと人々を怖がらせるものになるので、心の準備が必要だ。今、台湾人は分裂してはならない。一層の団結が必要だ」と述べた。
安全保障と言えば、真っ先に「軍事」を思い浮かべる人が多いであろう。だが本来は「国を守る」という考え方で、想定し得るさまざまな脅威にいかに対峙するかを指す。日本人が長年抱いてきた「安全保障観」を、今、見つめ直してみよう。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。